
【ヒューストン=赤木俊介】21日の米株式市場で米製薬大手イーライ・リリーの株価が上昇し、時価総額が一時1兆ドル(およそ156兆5700億円)に到達した。製薬企業としては初の「1兆ドルクラブ」入りとなる。肥満症向け専門薬の販売が好業績を支え、成長期待が高まっている。
リリーの株価は21日午前に前日終値比1%強上昇した。2024年11月からの株価上昇率は4割に迫っている。市場は肥満症薬の需要が今後も伸び続けるとみている。

リリーは「GLP-1受容体作動薬」と呼ばれる糖尿病・肥満症の治療薬を手掛ける。主力商品の肥満症薬「ゼップバウンド」や糖尿病治療薬「マンジャロ」の売り上げが好調で、25年1〜3月にGLP-1薬の米市場シェアでデンマーク製薬大手のノボ・ノルディスクを抜いた。
ノボは米市場で先行し、リリーとシェアを分け合っている。リリーによると、25年7〜9月期時点でリリーの米GLP-1薬市場シェアは約58%、ノボがおよそ42%だった。医学誌「JAMA Network Open」で発表された研究報告によると、米国でのGLP-1薬の売り上げが23年だけで717億ドルと18年から6倍以上に増えた。
時価総額1兆ドル企業の多くは、半導体の米エヌビディア、米アップル、米マイクロソフトなどテック勢が中心だ。テック大手以外では米投資会社のバークシャー・ハザウェイも24年8月に1兆ドルの大台を突破した。
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