国土交通省が入る中央合同庁舎第3号館=本橋和夫撮影

 国土交通省は25日、海外居住者による新築マンションの取得状況を公表した。今年6月までの半年間での東京都内の取得割合は3%となり、都心6区(千代田、中央、港、新宿、文京、渋谷)では7・5%と中心部ほど高い傾向がみられた。

 国交省が不動産の登記情報をもとに、都市部を中心に約55万戸の新築物件を初めて調査した。海外に住所のある人や法人が今年1~6月に取得した割合は東京23区で3・5%。2024年(1・6%)から倍増した。周辺の神奈川、千葉、埼玉の3県は1%以下にとどまった。

 関西圏では大阪府が2・6%、京都府が2・3%だったほか、愛知県は0・4%となった。18年以降でみると、東京や大阪、京都などで増加傾向がみられた。今年の東京23区の物件取得者が住む国・地域別では台湾が192件で最多となり、中国(30件)やシンガポール(21件)が続いた。

 一方、国内居住者も含め購入後1年以内に売買された新築マンションの割合は、24年1~6月に登記された物件で東京23区が9・3%、都心6区が12・2%にのぼった。東京23区の海外居住者による短期売買の割合は全体の1%台にとどまり、国内居住者がほとんどを占めた。

 一部で外国人投資家らによる投機的な取引がマンション価格の高騰を招いているとの指摘も上がるが、影響は限定的だった可能性もある。ただ、現状の登記情報では所有者の国籍までは把握できないため、政府は登記手続き時の国籍の届け出なども検討している。

 金子恭之国交相は25日の閣議後記者会見で「日本人か外国人かを問わず、実需に基づかない投機的取引は好ましくない」と語り、来年以降も調査を継続する方針を示した。

 また、マンションの投機的な取引を抑制するため、不動産大手でつくる不動産協会は25日、物件の引き渡し前の売却を禁止するなどの対応方針を公表した。引き渡し前に顧客が物件の売却活動をした場合、契約を解除して手付金没収などの形で違約金を請求したり、1物件あたりの購入戸数の制限をしたりするなどの対策を示した。

 ただ、方針の導入に強制力はなく、今後各社の判断で運用していく。不動産協会の野村正史専務理事はマンション価格の上昇について「建築コストの高騰と、旺盛な需要に対して供給戸数が減っている。転売が価格形成の支配的な要因とは考えられない」との見方を示した。【杉山雄飛】

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