DDRの的場令紋社長(26日、東京都港区)

法的サービス利用支援のDDR(東京・港)は26日、オンラインで離婚調停ができるサービスを始めたと発表した。財産分与や子どもの養育費、親子交流についてインターネット上で弁護士が一般的な条件を提示する。双方の合意に基づいて法的文書を作成する。裁判所での調停に比べ、期間と費用を大幅に抑えられる利点を訴求する。

離婚と財産分与をすることに大筋で合意している人を対象とする。話し合いが難航したら従来の裁判所での訴訟につなげる。

裁判所での離婚調停は平日昼のみの対応で、関係者の予定を調整すると月1回ほどしか実施できないケースが多い。申し立てから終了まで平均で7.6カ月かかる。弁護士への依頼料金なども数十万円ほどが一般的で、期間と価格の両面でハードルがあった。

DDRが提供を始めた「wakai(ワカイ)」は夜間や土日にも調停を実施し、最短1カ月で済む。費用は申し立てと弁護士を交えた話し合い(1回)、合意成立時の手続きの料金で計19万8000円。料金を双方で折半すれば10万円以下に抑えられる。

ワカイは、あらかじめ顧客に記入してもらった財産や収入などについての文書を基に話し合いを進める。裁判所の調停で弁護士が介入する場合は夫婦がそれぞれ弁護士を依頼するが、新サービスでは1人の弁護士が中立の立場で立ち会う。一般的なケースでの条件面を提示し、双方の合意を取り付ける

作成する和解合意書は法的な効力を持つ。養育費の不支払いなどの問題を防げると期待される。DDRは2027年11月〜28年10月の1年間で1480件の合意を実現し、売り上げ10億4000万円を目指す。

新サービスはADR(裁判外紛争解決手続き)の仕組みを活用している。裁判所ではなく民間事業者が第三者として当事者を仲裁し、民事上のトラブル解決を目指す仕組みだ。DDRはADRの事業者として法務省の認定を受けた。今後は相続、職場での退職交渉やハラスメント対応にも広げる計画だ。

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