コマツは、宇宙航空研究開発機構（JAXA）が公募する「宇宙戦略基金事業」（第2期）において、立命館大学などと共同提案した「月面拠点建設を実現するための測量・地盤調査技術の確立」が採択されたと発表した。月面開発で使用する測量・地盤調査システムを開発する。
同事業の技術テーマ「月面インフラ構築に資する要素技術」として採択された。月面のインフラ構築では、地球上と同様に測量と地盤調査が不可欠だが、月面は「レゴリス」と呼ばれる微細な砂が厚く堆積しており、その深さや硬さなどの土質特性は十分に解明されていない。地形や地質も不明な点が多い。
今回の取り組みでは、月面での建設施工や資源開発に必要な高精度の地形データを取得し、レゴリスの土質特性や地層構造を把握するための測量・地盤調査システムの開発を目指す。コマツは、地盤調査システムを月面上の調査地点に展開・設置するためのロボット機構を開発する。
このロボット機構は、バケットを用いた整地・転圧・掘削などの一連の地盤工事作業を行う機能を備える予定だ。これらの作業で取得するロボットアームやモーター・減速機にかかる力、画像などのデータを、地盤モデルの高度化や設計・施工システムへの反映に活用する。将来の月面建設機械の標準化に向けた基盤技術として展開可能という。
コマツは2021年に国土交通省と文部科学省による宇宙無人建設革新技術開発の選定を受けて以来、月面での無人建設のための月面建設機械の研究開発を進めている。デジタルツイン技術を活用し、月面環境と建設機械をサイバー空間上に再現した掘削シミュレーションを通じて月面建設機械の課題の抽出と対策に取り組んでいる。
これまで培ってきた建設機械の知見に加え、月面環境を再現したシミュレーションや極限条件での技術検証を通じて得られた知見を生かし、月面開発プロジェクトへの貢献を目指す。
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