
キヤノンは28日、55%を出資する上場子会社のキヤノン電子を完全子会社にすると発表した。671億円を投じ、TOB(株式公開買い付け)で全株式の取得を目指す。企業統治の観点から問題視される親子上場を解消する。キヤノン電子は人工衛星など宇宙関連事業を手がけており、キヤノンの経営資源を投入し事業を拡大する。
TOB期間は12月1日から2026年1月19日まで。28日終値(2756円)と比べて約3割高い1株3650円で買い付ける。成立すれば、キヤノン電子は上場廃止となる。
キヤノン電子はカメラ向けのシャッター部品などを製造するほか、人工衛星事業を手がけている。ロケット事業を手がけるスペースワン(東京・港)の株主にもなっている。キヤノンは「宇宙事業をグループ内で一体化し、スピード感を持ってさらなる事業成長を実現したい」と説明している。
高市早苗政権は17の戦略分野の1つに「航空・宇宙」を掲げている。キヤノン電子は防衛省向けに多軌道観測実証衛星の製造を受注するなど、安全保障にも関わっている。
キヤノンは親子上場関係について株式市場から課題と指摘されていた。ある幹部はかねて「(親子上場の)伝統を大事にする気持ちは早く捨てなければならない」と話していた。
キヤノンは25年12月期が、5カ年の中期経営計画の最終年度にあたる。26年12月期から始まる次の中計期間の前に、懸案の1つに手を打った格好となる。
キヤノンの上場子会社にはキヤノンマーケティングジャパン(MJ)もある。時価総額で7500億円を超える同社も完全子会社にするかが次の焦点になる。キヤノンMJは企業向けITシステムの好調を受け株価が上昇している。キヤノンは5割超を保有している。
株式市場では親子上場の解消の動きが相次ぐ。25年に入り、NTTがNTTデータグループを、住友商事がSCSKの完全子会社化をそれぞれ発表した。
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