記者会見で撮影に応じる(左から)帝人フロンティアの平田恭成社長と旭化成アドバンスの春見恵司社長(2日、東京都千代田区)

帝人と旭化成が傘下の繊維商社を経営統合することを決め、2日に記者会見を開いた。2026年10月に新会社を設立し、30年ごろまでに売上高で24年度比1割強多い5000億円を目指す方針を明らかにした。それぞれが得意とする素材を生かした製品の開発や、サプライチェーン(供給網)をまとめるなどで統合効果を見込む。

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「持続的な成長と企業価値の最大化を図るうえで最善の選択だと確信している」。帝人子会社の繊維商社、帝人フロンティアの平田恭成社長は記者会見で統合の意義について述べた。

帝人フロンティアは旭化成子会社の旭化成アドバンスを吸収合併し、26年10月に新会社を設立すると1日に発表した。帝人が80%、旭化成が20%出資する。24年度決算のベースで2社を単純合算すると売上高は約4400億円、事業利益は約220億円と、繊維商社ではトップクラスの事業規模になる。

帝人はポリエステル素材に強みを持ち、旭化成はナイロンやスーツの裏地などに使われる素材に強みがある。それぞれの得意分野を生かした衣料品などでシナジー(相乗効果)を見込む。産業資材ではエアバッグの生地の生産や縫製をそれぞれ拡大して供給網を連結することも検討する。

旭化成アドバンスの春見恵司社長は「帝人が多く持つ海外の拠点を生かし、欧州やインド、米国などでの事業に力を入れたい」と話した。統合によりグローバルで顧客を増やすことを狙う。

2社は新会社の設立に向けて、まずは26年3月ごろをめどに当局からクリアランス(排除措置命令を行わない旨の通知書)を取得するなどの手続きを進める。

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BUSINESS DAILY by NIKKEI

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