アルツハイマー病患者の脳内には「アミロイド」や「タウ」と呼ばれるたんぱく質が蓄積する=ロイター

金沢大学の研究チームは、アルツハイマー病治療薬「レカネマブ(製品名レケンビ)」の治療を受けた患者のデータを解析した。脳脊髄液の中に含まれる「タウ」というたんぱく質の濃度が高い患者ほど、認知機能が低下しやすく、脳出血などの副作用が起きやすい傾向が分かった。治療の安全性や有効性の予測につながる可能性がある。

アルツハイマー病は脳が萎縮して徐々に認知機能が失われる進行性の病気だ。エーザイと米バイオジェンが開発したレカネマブは、認知機能が低下するスピードを緩やかにする効果を世界で初めて証明した治療薬で、軽度認知障害(MCI)の人や軽度のアルツハイマー病患者に使用する。

日本をはじめ米国や中国、韓国や欧州(EU)などで承認されている。脳の出血や腫れといった「ARIA」と呼ばれる副作用が起きることも知られている。

金沢大の小野賢二郎教授らの研究チームは神経細胞の中に含まれるタウたんぱく質「pTau181」に着目した。実際に医療現場でレカネマブの投与を受けた約100人の患者の脳脊髄液に含まれるpTau181の濃度と副作用の発生や治療効果の関係性を分析した。

レカネマブの投与風景=金沢大学の小野賢二郎教授提供

脳脊髄液のpTau181の濃度が高い人は、レカネマブ投与後のARIAの発生割合が高かった。6カ月後、12カ月後の認知機能も悪化する傾向があったという。

小野教授は「レカネマブの一番の懸念であるARIAの予測ができるのはインパクトがある」と話す。研究成果は国際学術誌「アルツハイマーズ・リサーチ&セラピー」に掲載された。

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