花王は、建築物などの古い塗装や汚れを自発的に剝がす「剝離除去技術」を開発したと発表した。剝離剤を塗布・乾燥するだけというシンプルな工程で、有機溶剤を使わず粉じんも発生しない。作業負荷を軽減し、作業者と環境への安全性も向上する。ビル外装や船舶塗装の除去などへの実用化を目指し、他分野への応用展開も検討する。
新技術は、内部応力で塗膜が自己剝離する仕組みを応用した。内部応力とは乾燥などによって塗膜が縮む際に生じる力だ。塗膜と接着面を引き離す方向に働き、自己剝離を誘発する。
内部応力の発生メカニズムを詳しく調べ、接着面から自己剝離する内部応力を意図的に発生させる素材の組み合わせを選定した。同社の強みである精密界面制御技術を生かした。
開発した技術を用い、様々な素材に付着した汚れに対する性能を評価した。鋼板のさびやステンレス板のペイントの除去が可能なことを確認した。また、コンクリート表面では表層を数十〜数百マイクロメートルの深さで除去できることも分かった。
従来、建築現場では有機溶剤で溶かす方法や、機械的に削り取る方法が用いられてきた。これらは作業負荷が高く、有機溶剤や発生する粉じんは作業者や環境への負担となっていた。
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