
ニコンは5日、神奈川県の工場でフィルム型の曲がる電子機器を受託開発する拠点を10日から稼働させると発表した。次世代太陽電池の本命とされる「ペロブスカイト太陽電池」などの試作品開発を、顧客から受託する。コストを抑えて試作品をつくりたい企業の需要をとりこむ。
相模原製作所(相模原市)内に受託開発拠点の「S3S LAB(エススリーエスラボ)」を開設する。ペロブスカイト太陽電池やディスプレー、センサーをはじめとした、柔軟で折り曲げ可能な電子機器の試作品をつくる。量産化に向けたプロセス開発も担う。

施設内にはニコンが新たに開発した「Roll to Roll マスクレス露光装置」を配置した。フィルム表面に電子回路を形成するのに使う。フィルムを巻き取りながら連続的に露光できるのが特徴だ。熱などによるゆがみや収縮が生じやすいフィルムでも正確に回路を描くことができる。
試作品が量産段階に入り、顧客が生産ラインを立ち上げるタイミングで、露光装置の「モノ売り」につなげる戦略だ。ニコンは半導体やフラットパネルディスプレー(FPD)向けの露光装置を製造販売しており、技術を転用した。

5日、相模原製作所で記者説明会を開いた精機事業本部の依田安史・次世代事業開発統括部長は「稼働前からすでに20社ほど、試作品の開発案件を受託している」と説明した。京都大学発のスタートアップで、ペロブスカイト太陽電池を開発するエネコートテクノロジーズ(京都府久御山町)などが顧客になっているという。
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