東京ガスの笹山晋一社長=東京都港区の同社本社で2025年12月4日午後4時20分、中島昭浩撮影

 東京ガスは10月に発表した2026~28年度の中期経営計画で、成長の柱の一つに海外事業を据えた。前の中計から1500億円増の3500億円規模の新規投資を進める。国内と同様にデータセンターや半導体工場向け電力需要の伸びが見込まれる米テキサス州を中心とした旺盛なガス需要の獲得を目指す。

 同州とルイジアナ州のシェールガス開発では、23年にガス開発・生産事業を手掛ける米ロッククリフ・エナジーを完全子会社化。今年4月にオイルメジャーの米シェブロンと共同開発契約を締結した。足元の生産量は日量12億立方フィート以上で、米国全体の1%超に当たる規模に成長した。笹山晋一社長は「生産コストを含めてかなり競争力が持てる状況になってきた」と話す。

 新規投資の多くは上流開発だが、新中計には液化天然ガス(LNG)を製造する液化事業への参画など中・下流分野の強化も盛り込んだ。米企業との共同出資で設立したアーム・エナジー・トレーディングを通じ、LNGの引き取りと米国からの輸出も加速させる考え。ガスだけでなく、現地で稼働済みの太陽光発電所や系統用蓄電池による電力供給にも力を入れる。

 「米国は欧州とアジアの中間地点。これからはLNGのトレーディングを拡大し、商流を多様化していく」と笹山社長。市場間の価格差による収益獲得も見据える。

 関心を表明しているアラスカ州のLNG開発事業からの調達については「競争力のある価格と柔軟性のある契約条件が出てくるかを待って判断したい」と語った。【中島昭浩】

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