総務省の情報通信審議会(総務相の諮問機関)の分科会は8日、高度約600キロメートルの軌道での17.7〜30.0ギガヘルツ(GHz)の周波数帯を利用した衛星通信を認める答申をした。米アマゾン・ドット・コムの参入が可能になる。総務省は2025年度内に関連省令などを整備し、早ければ26年夏にも申請を受け付ける。
アマゾンの希望する高度・周波数帯で衛星通信をするための制度が日本になかった。答申は、同じ周波数帯を利用する他の事業者と混信が生じないよう調整するなど、具体的な要件を明記した。
アマゾンは、多数の小型人工衛星を一体で運用する低軌道衛星を用いた通信サービス「アマゾンレオ(旧プロジェクト・カイパー)」を掲げる。29年までに3200基以上の衛星の配置を目指す。
低軌道衛星による通信は大容量で遅延が少ない情報のやりとりが期待できる。地上の通信設備が使えなくなる災害時や、電波の届きにくい山間部・離島でも通信できるメリットがある。
日本の衛星通信は、米スペースXの「スターリンク」と英ワンウェブが先行する。アマゾンの参入で事業者の多角化が進む。国内インフラの育成が課題になっており、楽天グループ傘下の楽天モバイルは米ASTスペースモバイルと組んで26年度のサービス提供開始を計画している。
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