協定に署名した(左から)パナソニックの品田正弘社長、草津市の橋川渉市長、立命館大学の仲谷善雄学長(25日、草津市)

滋賀県草津市は25日、市内に拠点を持つパナソニックや立命館大学とウェルビーイング(心身の健康と幸福)の向上や地域の活性化に向けた協定を結んだ。同市は京阪神のベッドタウンとして人口が流入する。だが、全国規模では少子化が続くなかで将来も発展できるように、都市ブランドの向上を巡る新たな産官学の協力のあり方を探る。

パナソニックの技術と立命館大の研究を踏まえ、ウェルビーイングや地域活性化を巡る成果を草津市が地域社会に実装するモデルを描く。3者の連携を通じて地域社会の課題解決や新たな価値の創造を目指す。そのうえで①持続可能な地域社会の実現②地域住民のウェルビーイングの向上③地域経済の活性化――を追求する構えだ。

草津市で1969年から冷蔵庫などを製造しているパナソニックは、市内で高度道路交通システム(ITS)を使い電動アシスト自転車の安全を確保する実証実験を計画している。自動車を含めて高齢者の利用を想定し、交差点などでの事故を未然に防ぐ。25日の記者会見で品田正弘社長は「安全安心を具現化したい」と話した。

立命館大はこの秋、草津市内の「びわこ・くさつキャンパス(BKC)」でウェルビーイングに関する新たな研究拠点「立命館先端クロスバースイノベーションコモンズ(CVIC=シービック)」を稼働させる計画だ。現実とバーチャルが高度に融合する現代社会での心身の変化やELSI(倫理的・法的・社会的課題)を解明していく。

記者会見に同席した橋川渉市長は「健康長寿のまちづくりを目指すうえで労働力の減少を見越した地域社会の維持が大事だ」と、協定締結の背景を説明した。立命館大学の仲谷善雄学長は「(ITSなど)モビリティーを巡るパナソニックの技術を(CVICを活用した)仮想空間のなかで検証することもできる」と語った。

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