全国で地方銀行の再編が進み、千葉県内でも預金量トップの千葉銀行と3位の千葉興業銀行が9月に経営統合に基本合意した。人口減少などで経営環境が厳しさを増す中、県内2位の京葉銀行はどう動くのか。京葉銀の藤田剛頭取(57)に聞いた。【柴田智弘】
――京葉銀の特徴は。
◆この30年間、お客様目線のサービスを徹底してきた。セキュリティが高く専用ブースに座ったままで貸金庫が届く全自動貸金庫、外貨預金や個人向け国債取引もできる多機能ATMなどが支持され、預金残高を2・5倍に増やした。首都圏の単独の銀行でこれだけの成長率はなかなかないと思う。
――どのような銀行を目指しているのか。
◆県内2番手の銀行として、県民の皆様にとっての健全な選択肢でありたい。我々のコア・コンピタンス(競争上の強み)は「この銀行に相談したい」という空気感。「敷居のない親切な銀行」と思われるようになりたい。
――力を入れる分野は。
◆一番の社会課題は人口減少・少子高齢化で、そこには事業承継の問題がある。医療・福祉・介護の分野では人手不足が深刻だ。こうした分野で事業継続ができるよう、コンサルティングを強化し伴走していく。
――他行との経営統合や連携など銀行業界を取り巻く環境は流動的だ。京葉銀はりそなホールディングス(HD)とアプリの開発や人材育成で連携しているが、その関係は今後発展するのか。
◆日本全体で人口が減少傾向に向かうわけだから、再編が浮上すること自体に違和感をもっていない。銀行経営に携わる者で、そこを全く頭から外している人は多分ゼロだと思う。
その再編が銀行側のロジックだけで組み立てられるのは本筋ではない。地域やお客様にとってどうするのがベストか、ユーザー側の見方を大事にしないといけない。
りそなHDとのデジタル、人材育成の分野を中心とした連携は非常にうまく機能している。エリア重複がないのでほとんどの業務が非競争分野ということになり協業できる分野はかなり多い。今後も互いの経営方針に沿って連携分野を拡大していきたい。
――千葉銀と千葉興銀が9月に経営統合に基本合意した。2027年4月をめどに持ち株会社を設置し、2行が傘下に入るという内容だ。京葉銀の経営に影響はあるか。
◆我々は県民の皆さまの健全な選択肢として存在感を示していくことが何よりも大切なことだと考えている。そのためにも県内3行それぞれが自行の特徴を活かして地域に貢献していくべきだ。
一方で、環境の変化はなぎの状態よりも好機と捉えている。より良いサービスを提供することに一層邁進していく。我々が目指すべきこと、なすべきことに変わりはない。
――6月の頭取就任から半年がたった。トップとして意識していることは。
◆私が大事にしているのは、正しいと思うことを遠慮なく発信できる状態を指す「心理的安全性」という言葉だ。マネジメントの全てだと考えている。相手との意思疎通により、共感と納得を得ることが大事で、専務の時には多くの支店を回って行員と対話をした。トップになっても現場とのコミュニケーションを大切にしたい。
ふじた・ごう
千葉県出身、1968年生まれ。東洋大法学部卒。91年入行。市川支店長や経営企画部長、専務執行役員などを経て2025年6月から現職。
県内地銀3行の規模(2025年3月末時点)
預金残高 貸出金残高
千葉銀行 16兆2687億円 13兆2333億円
京葉銀行 5兆5411億円 4兆3631億円
千葉興業銀行 2兆8795億円 2兆4203億円
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