アサヒグループ本社ビル(中央)。右はスーパードライホール、左は東京スカイツリー=東京都台東区で、宮武祐希撮影

 アサヒグループホールディングスが身代金要求型ウイルス「ランサムウエア」によるサイバー攻撃を受けた問題で、流出したとみられる社内文書が新たにダーク(闇)ウェブに公開されたことが10日、分かった。

 セキュリティー会社関係者によると、攻撃に関与したとされるハッカー集団「Qilin(キリン)」は10日までに、アサヒの内部情報とみられる千数百件のファイルやフォルダーを新たに公開した。オンライン会議アプリのやりとり、社内研修や人材育成に関する資料、取引先との商談書類などが含まれている。

 アサヒの勝木敦志社長は11月の記者会見で、ハッカー集団への身代金について「払っていない。払ったとしても完全に復旧できる保証はないし、他の攻撃者に狙われるリスクも増える」と説明。Qilinはさらなる内部情報を公開して脅しをかけ、アサヒに身代金を支払うよう迫った可能性がある。アサヒは「流出した疑いのある情報がネットに出ていることは確認している。中身に関しては調査中」としている。

 アサヒへのサイバー攻撃を巡っては、アサヒの顧客や社員の個人情報計190万件超が漏えいしたか、その恐れがあることが判明した。同社は来年2月までにシステムを復旧し、通常の受注・出荷体制に戻したいとしている。【成澤隼人、佐久間一輝】

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