
三菱ケミカルグループは12日、電気自動車(EV)の電池に使われる電解液の米英の製造拠点を売却すると発表した。生産能力は4割減となる。売却額は非開示だが2026年3月期の業績への影響は軽微で織り込み済み。EV市場の成長鈍化で採算が悪化し、今後は技術供与やライセンス提供を強化する。
ルクセンブルクのグリーン・エナジー・オリジン社に26年3月31日に譲渡する予定だ。電解液や添加剤など電池材料を手がけ、欧米や韓国などに製造拠点を持つ。
三菱ケミGは電池向けでは電解液と負極材の2つを手がけ、電解液の方が事業規模は大きい。日中米英の4カ国で約7万トンの生産能力をもっている。
米英拠点では需要見合いで生産能力を増強してきたが、EV市場の成長速度の鈍化に伴いこれまでも設備増強の計画を延期していた。今後は自社で設備を増やすよりも、ライセンス供与や技術供与など自社での設備投資を伴わない方法での展開を強化する。これまでも中国の車載電池大手、寧徳時代新能源科技(CATL)にライセンス供与している。
三菱ケミGは化学系事業の構造改革を進めており、売上高にあたる売上収益ベースで4000億円相当の事業の売却や撤退を進めている。電池材料の主力事業においても取捨選択し、今後成長が見込める事業に注力する。
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