北海道の釧路湿原周辺に建設された大規模太陽光発電所(8月)=共同

政府・自民党は地上設置型の事業用の太陽光発電を巡り、新規事業の売電価格への上乗せ補助を2027年度にも廃止する。再生可能エネルギーの普及を促すため導入したが、大規模施設のメガソーラーなどで設置コストが下がり、補助は不要だと判断した。環境破壊につながる新設も目立ち、増設を抑える。

メガソーラーを巡っては、北海道の釧路湿原国立公園周辺での建設で法令違反が見つかるなど、自然環境との調和が課題となっている。

自民が近く開く経済産業部会や環境部会の合同会議に、廃止を求める政府への提言を示す。政府は年内にも関係閣僚会議を開き、政策パッケージに盛り込む。26年初頭にも経済産業省の審議会で決定する。

民主党政権下の12年、政府は発電した電気を固定価格で買い取る制度を始めた。22年からは売電価格に一定の補助金を上乗せする制度を導入した。新設のメガソーラーなど地上設置型の太陽光発電は上乗せの対象になっている。

太陽光パネルの製造や設置にかかるコストが下がっており、補助金がなくても事業として成り立つとみている。家庭用や、建物の屋根に置く事業用への支援に絞る。

再生エネの固定価格買い取りや上乗せ補助の25年度の予算総額は4.9兆円に上る。このうち事業用の太陽光発電向けは3兆円を占める。費用の一部は電気の利用者から広く集める「再エネ賦課金」でまかなう。燃料価格の高騰などで電気代が上昇するなか、賦課金を抑える必要性も指摘されていた。

メガソーラーによる環境破壊や周辺住民とのトラブルは全国各地で相次いでいる。政府の政策パッケージでは、メガソーラーの新設に関して環境影響評価(環境アセスメント)の対象を広げるほか、希少動植物を保護しやすくする規制の見直しを進める。

政府は2月に閣議決定したエネルギー基本計画で40年度の電源構成に占める太陽光発電の割合を2〜3割程度にすると示した。23年度から2倍以上にする必要がある。今後は曲げられるほど薄い「ペロブスカイト太陽電池」の開発や設置を重点的に支援する。

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