
【シリコンバレー=山田遼太郎】ロボット掃除機「ルンバ」を手がける米アイロボットは14日、日本の民事再生法に相当する米連邦破産法第11条(チャプター11)の適用を申請したと発表した。業績不振が長引き、身売り先を探したが買い手が見つからなかった。ルンバの製造を委託する債権者の中国企業傘下に入る。
米裁判所の承認を経て、アイロボットの全株式を、主要サプライヤーである中国・深圳の杉川集団(ピセアグループ)系が取得する。ピセアはアイロボットから未回収となっている多額の売掛金があり、12月までに米投資会社カーライル・グループから追加の債権を購入していた。
アイロボットは2026年2月までにチャプター11の手続きを終える見通しという。米ナスダック市場への上場は廃止となる。
アイロボットはピセア傘下で債務を削減し「通常通り事業を継続する」と表明した。破産申請によって顧客や取引先への影響は出ないと説明した。一方で発行済みの全株式が消却され、株主が損失を被る見込みだという。
アイロボットは02年にルンバを発売し、家庭にロボット掃除機を普及させた。近年は中国勢との激しい価格競争でシェアが低迷していた。25年7〜9月期の売上高は、前年同期比25%減の1億4583万ドル(約230億円)、最終損益は2152万ドルの赤字(前年同期は637万ドルの赤字)だった。
22年に米アマゾン・ドット・コムが負債を含めて約17億ドルで買収すると発表したが、欧州連合(EU)などの競争当局の承認が得られなかった。アマゾンが24年に買収を断念した後、アイロボットは代わりの売却先を探したものの、交渉が難航した。
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