コンフェックスHDが展開する菓子

伊藤忠商事は17日、ヤマエグループホールディングス(GHD)と菓子卸事業を統合すると発表した。ヤマエ傘下のコンフェックスHDが伊藤忠傘下の卸会社を完全子会社化し、売上高は菓子卸1位となる。伊藤忠はコンフェックスHDに4割出資する。共同物流やデータ共有で競争力を高め、成長が続く菓子市場でシェアを広げる。

伊藤忠がコンフェックスHDが実施する第三者割当増資を引き受け、その後伊藤忠子会社のドルチェ(東京・品川)とコンフェックスHDの株式交換を実施する。伊藤忠はコンフェックスHDへの出資比率を現在の7.2%から40.8%に引き上げ、持ち分法適用会社にする。公正取引委員会の審査を経て、2026年1月中旬をめどに実施する。

現在、コンフェックスHDの売上高は菓子卸業界2位、ドルチェは6位前後だ。子会社化後の売上高は単純合算で3700億円規模(25年3月期)と丸紅傘下の山星屋(同、3571億円)を抜いて業界首位となる見通しだ。

コンフェックスHD傘下の菓子卸、コンフェックスはスーパーやドラッグストアなど全国約500社の小売企業と取引があり、セブンーイレブン・ジャパンも主要取引先だ。駄菓子屋の「夢や」やカステラの製造会社も傘下に持つ。ドルチェはファミリーマート向けに菓子供給やプライベートブランド(PB)商品の開発を手がける。

菓子業界で原材料高や物流費の高騰、人手不足が深刻化する中、物流や商品開発などの機能を両社で集約し効率化を進める。物流面では26年度から東北など一部地域でコンフェックスHDの自社物流拠点を設ける。各菓子メーカーが個別に行っているコンビニのセンター向け配送を集約して、メーカー側の配送回数を減らす。

両社の持つ購買データなどの共有を進め、商品開発や小売業などへの提案力を強化する。伊藤忠が持つ人工知能(AI)の需要予測に基づく自動発注システムをコンフェックスHDに導入して効率化を進めるほか、伊藤忠が開発した食品の味覚データや購買データを分析して商品開発に生かすツール「フーデータ」の活用も進める。

菓子の値上げに加え、インバウンド(訪日外国人)の増加や若年層のグミ人気などで日本の菓子市場は拡大傾向が続く。全日本菓子協会(東京・港)によると、24年の菓子小売金額は前年比5%増の3兆8785億円だった。伊藤忠とヤマエはメーカーや小売りへの提案力や交渉力を強化し、30年度までにコンフェックスHDの売上高を24年度比37%増の5000億円にすることを目指す。

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