森ノ宮営業所の開業にあわせて記者会見に出席したニューモの青柳社長㊧ら(17日、大阪市城東区)

交通系スタートアップのnewmo(ニューモ、東京・港)傘下でタクシー事業を手がける夢洲交通(大阪市)は17日、大阪市城東区に初の営業所「森ノ宮営業所」を開設した。まずタクシー60台程度で運用を始める。ドライバーの点呼をタブレット端末1台で完結させるといった新規性のある運営オペーレーションを導入し、業務効率を高める。

ニューモの青柳直樹社長は17日に開いた記者会見で「グループの中核拠点として、新しいタクシー会社のモデルをつくっていきたい」と述べた。夢洲交通は7月にニューモが設立した。新営業所はパチンコ店跡の建屋を活用。1階部分を本社と営業所とし、立体駐車場を車両基地にしている。

ニューモ傘下の夢洲交通の本社兼営業所(大阪市城東区)

森ノ宮営業所では「デジタルやAI(人工知能)の活用のあり方を示していく」(青柳社長)としている。営業所の出入り口付近に点呼システムを置き、ドライバーや車両の位置情報などを管理するシステムなども採用している。配車予約の電話に対し、AIが自動で乗車地や氏名などを聞き取る仕組みも取り入れる計画だ。

タクシー業界の慢性的な人手不足に対応し、女性や20代の若者なども積極採用する。所内には女性用の更衣室も備えている。身支度を整えるパウダールームも設置する予定だ。

乗車地点をヒートマップなどで可視化して、ドライバーの営業活動に生かす(大阪市城東区)

ニューモは大阪府内でタクシー事業を広げている。24年3月に岸交(堺市)の経営権を得たことを皮切りに、同年7月に未来都(守口市)、25年4月に堺相互タクシー(堺市)を傘下に収めた。11月にはタカラ自動車(東大阪市)からも事業取得した。M&A(合併・買収)を通じてタクシーの運用台数を現在の2~3倍の2000~3000台まで引き上げる考えだ。

法整備の進展や規制緩和を踏まえ、27年以降に自動運転タクシーの導入も目指している。17日には自動運転の実証車両も初めて公開した。高性能センサーの「LiDAR(ライダー)」やカメラを設置しており、連携協定を結んでいる堺市で12月から試験走行を本格化している。

自動運転タクシーについては米アルファベット傘下のウェイモが4月から東京でデータ収集のための走行を始めている。青柳社長は「大阪のタクシー会社として(大阪府市や堺市のように)スピーディーに新しいものを取り入れる気質をアドバンテージとして生かしていきたい」と話した。

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