ウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を原発で燃やすプルサーマル発電を行っている関西電力高浜原発4号機(福井県高浜町)で、継続して使用する予定だったMOX燃料の集合体16体のうち8体を、今年10月の運転再開時に一転して使用しなかったことが分かった。関電は、燃焼度(燃え具合)が制限を上回る恐れがあったとしている。
原発問題に詳しい長沢啓行・大阪府立大名誉教授(生産システム工学)は「異常な燃焼が生じていたのではないか。燃料を製造したフランスでの品質管理についても調査すべきだ」と指摘している。
MOX燃料の燃焼度は、原子力安全委員会(現・原子力規制委員会)が了承した安全性の指標を基に、電力会社が最高燃焼度を原子炉の設置変更許可申請書に記載している。通常は原発の運転期間(13カ月以内)3回(3サイクル)の燃焼度を合計し、制限を超えないようにしている。
高浜4号機の16体はフランスのメロックス工場で製造され、2021年11月に高浜原発に到着。翌22年には原子炉に装着され、今年6月に始まった定期検査までに2サイクル使用されていた。関電はその際、3サイクル目となる次の運転期間でも16体全てを継続使用すると発表していたが、実際に装着したのは8体のみだった。
関電は、残りの8体を3サイクル目で使用しなかった理由を、燃焼度の制限を超える可能性があったためとしているが「運用の範囲内で安全に問題はなかった」と説明。2サイクル終了時の燃焼度について「商業機密に相当する非公開情報となるため示せない」としている。
メロックス工場では、高浜4号機のMOX燃料を製造していた時期に、プルトニウムの密度が高い塊「プルトニウムスポット」ができる不良品が続出。高浜3号機のMOX燃料の製造も、この影響で1年近く遅れた。関電は「必要な検査を実施し、問題ないことを確認している」としている。【大島秀利】
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