特許権が東京地裁で争われた大日本除虫菊の「蚊がいなくなるスプレー」(左)とアース製薬の「おすだけノーマット スプレータイプ」=東京都千代田区で2025年12月12日午後4時7分、安元久美子撮影

 蚊を駆除するスプレーの特許権が侵害されたとして「金鳥」ブランドで知られる大日本除虫菊(大阪市)が、ライバル社のアース製薬(東京都)を相手に起こした訴訟の判決で、東京地裁(高橋彩裁判長)は17日、そもそも大日本除虫菊の特許が「不明確で無効とされるべきだ」との判断を示した。侵害対象となる特許権自体が否定された形となり、アース製薬が勝訴した。大日本除虫菊は控訴する方針。

 大日本除虫菊は「蚊がいなくなるスプレーシリーズ」、アース製薬は「おすだけノーマット」を展開している。従来は薬剤粒子を空中に長時間漂わせて蚊を寄せ付けないようにする仕組みだったが、両社の製品は薬剤を壁や床に付着させる点に特徴がある。大日本除虫菊はアース製薬に製造差し止めなどを求めたが、判決は請求を棄却した。

 判決は、大日本除虫菊の特許にある「付着性粒子」は、噴射から時間がたっても壁や床に付着した状態を維持し、蚊を駆除できるものを指すと捉えられると指摘。ただし、付着の量などの確認方法の記載が見当たらず、特許の権利が及ぶ範囲が第三者からはっきりしないことから、侵害に当たるケースかが判断できない状態と結論付けた。

 大日本除虫菊は「残念な判決だ」、アース製薬は「当社の正当性が認められたと受け止めている」とそれぞれコメントした。【安元久美子】

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