自民党と日本維新の会は19日、2026年度与党税制改正大綱を決定した。所得税がかかり始める「年収の壁」については、国民民主党の要望を受け入れ、現行の160万円から178万円に引き上げたほか、自動車や軽自動車の取得時にかかる自動車税の「環境性能割」も廃止する。そのほか投資促進税制や住宅ローン減税の延長・拡充など、全体的に減税メニューが目立つ内容となった。
政府は月内に大綱を閣議決定し、年明けの通常国会に関連法案を提出する。「責任ある積極財政」を掲げて発足した高市早苗政権初の大綱となる。ただ、財政悪化懸念から長期金利は上昇傾向にあり、この日は26年ぶりに2%超えの水準に突入。26日にも政府が閣議決定する26年度予算案では、借金である国債依存が強まりそうだ。
年収の壁は、最低限の生活費に課税しない基礎控除を最大限受けられる対象を年収665万円までに拡大する。中間層の手取りを増やす狙いがあるが、今回の改正に伴って6500億円程度の税収が減る。
自動車税の「環境性能割」についても、当初は2年間停止にする方針だったが廃止した。減収となる地方税約1900億円分については、いったん国の責任で手当てする。
防衛力強化に向けた所得増税は27年1月から始める。復興特別所得税(税率2・1%)のうち1%を新たな「防衛特別所得税」(仮称)に付け替えるが、復興特別所得税の課税期間は10年延長され、事実上の負担増となる。富裕層の課税強化策も盛り込んだ。
一方、ガソリンと軽油の暫定税率廃止と高校授業料などの「教育無償化」の計2兆円超の財源については、賃上げ促進税制の見直しなどで年1兆2000億円を確保するにとどまった。与党は歳出改革も進めるが、税制での財源確保の具体的方法は26年末の大綱で結論を得るとした。【井口彩、妹尾直道、鈴木悟】
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