大阪湾に浮かぶカキいかだ(2021年)

瀬戸内海一円で養殖カキの大量死が発生しています。全国最大産地の広島県をはじめとして兵庫県や大阪府にも被害が及び、国や自治体は養殖事業者の支援策を打ち出しています。被害状況や行政の対応をまとめました。

広島で最大9割死滅「これほどは初めて」

全国の養殖カキ水揚げトン数の6割を占める広島県では、県中東部と広島湾南部の海域で水揚げした養殖カキのうち6割から9割が死滅していました。瀬戸内海の各地で発生した大量死の原因として、瀬戸内海の海水温上昇や周辺地域での降雨不足などが指摘されています。

  • ・瀬戸内カキ大量死、沿岸部経済に影響広がる 広島県300億円損失も
  • ・鈴木農相が広島カキ養殖視察 大量死問題「経営支える」

全国有数の産地・兵庫や大阪でも養殖に打撃

兵庫県内の養殖カキは最大8割が死んだとみられ、漁業団体が県へ原因究明や資金繰り支援の要望を提出しました。大阪でも15事業者のうち約半数でカキの大量死が確認され、被害は約7000万円に上りました。

  • ・カキ大量死、兵庫県が漁業者の資金支援 12月補正で利子補給
  • ・兵庫県の漁業団体、カキ大量死で県へ要望 原因究明や資金支援
  • ・カキ大量死、大阪府で7000万円の損失 事業者の半数に被害

国や自治体、業者の資金繰り支援に乗り出す

相次ぐカキ大量死を受け、国や自治体は養殖業者向けの支援策を講じました。兵庫県は12月補正予算案で海域調査や災害対応資金の貸付利率の一部無利子化に予算を計上。水産庁は被害を受けた事業者に実質無利子で融資する仕組みを設けました。岡山県瀬戸内市ではふるさと納税制度を活用した資金支援が実施されるなど、様々な枠組みで支援が行われています。

  • ・兵庫県12月補正予算案918億円 デジタル商品券追加、カキ不漁支援
  • ・カキ大量死、資金繰り支援へ無利子融資 水産庁
  • ・岡山県瀬戸内市、ふるさと納税でカキ養殖業者支援 大量死受け

家計にも影響波及、カキむき身2〜3割高

豊洲市場の卸値は1キログラム3200〜3300円と前年同期を2〜3割上回り、スーパーでの価格も上昇。鶏肉やマダラなどの食材も高く、冬の鍋の主役が軒並み値上がりしている状況です。

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