政府が食料品価格高騰対策の交付金で自治体に推奨している「おこめ券」を巡り、毎日新聞が19日までに神奈川県内の全33市町村に取材したところ、配布を「決めた」とする自治体はゼロだった。未定としている自治体が多いが、横須賀など6市町では経費の大きさなどから見送りを決め、現金給付やプレミアム付き商品券の発行をする。
16日に参院で可決、成立した今年度の補正予算は、自治体が自由に使える「重点支援地方交付金」を2兆円計上。このうち4000億円を「おこめ券」の配布を含む食料品価格高騰に対応する特別加算(特別枠)とした。
特別枠では自治体の判断でおこめ券のほか、電子クーポンやプレミアム商品券、現金給付などが選択でき、1人当たり約3000円相当が利用できる。農林水産省は選択肢の一つとして、おこめ券の配布を勧めているが、自治体から発行経費が高すぎるなどと批判が出ていた。
横須賀市は特別枠などを活用して、市民全員に1人当たり6000円を現金給付することを決めた。24日の市議会に補正予算案を提出する。担当者はおこめ券配布を見送った理由について「事務費の割合が大きすぎる」と指摘する。
海老名市もおこめ券の配布を見送り、市内店舗で使えるプレミアム付き商品券を発行する。登録店舗で使える5000円分の券を3000円で、小規模店舗で使える3000円の券を1500円で販売するという。内野優市長は「(おこめ券は)みんな使っていない」と否定的な見解を示していた。
茅ケ崎市も市内の商店や大規模店で使える「くらし応援商品券」を1人6000円分配布するという。
その他の多くの自治体は未定だが、南足柄市は、おこめ券は活用しない方針を固めた。担当者は「効果的な視点で考えた時、おこめ券よりも他の方法がよいと判断している」と回答した。
また、真鶴町は「町民が使いやすいものにする必要がある」として、現金給付か商品券配布を検討している。清川村も村内で使える商品券「きよかわ元気応援券」の配布を中心に検討を進めているという。
検討中としている横浜市の山中竹春市長は17日の定例記者会見で「コスト、スピード感などを重視して、市民にメリットが高い手法を検討しているところだ」と述べた。【まとめ・蓬田正志】
おこめ券配布を見送った県内自治体
横須賀市 1人6000円の現金給付
平塚市 電子商品券利用で3割還元
茅ケ崎市 1人6000円の商品券発行
海老名市 プレミアム付き商品券発行
南足柄市 おこめ券は活用せず
愛川町 地域振興券を配布
※他の自治体は検討中
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。