全国的に教員不足が課題となるなか、精神疾患で休職する教員を減らし、休職した場合も安心して復職してもらうための取り組みは欠かせない。各地の教育委員会が試行錯誤し、効果が出始めているところもあるが、全国に広げるには課題もありそうだ。
精神疾患で休職した教員の割合が全国平均の2倍以上という状況が続いていた沖縄県は2023年度から、那覇市を中心に保健師などがオンラインで相談に応じる体制を整備した。
ただ、当初は相談が少なく現場にメンタルヘルスケアの重要性が浸透していないとの課題が浮かび上がった。市町村教委との連携を進めるとともに、25年度には5月1日と9月1日を「教職員メンタルヘルスの日」と指定し、啓発を強化している。
担当者は「例えば歯医者に行くために早退することは誰もとがめない。精神疾患についても同じように『メンタルヘルスケアのために早退します』と言えるようにならなければいけない」という。
県内で24年度に精神疾患で休職した教員は前年度比21人減の247人と、4年ぶりに減少した。ただ、那覇市のような市部と離島で教委の体制に差があり、どの地域の学校に異動しても同じように安心して働ける環境整備は道半ばだ。
休職中の教員とのやりとりは校長など所属校の管理職が担うことが多いが、かえってストレスになるとの指摘もある。
千葉市では保健師など専門家が、罪悪感や復職への焦りを抱きがちな休職中の教員に休息期間の確保を促しているほか、復職後の接し方について管理職側にも助言している。25年度には約200人の新規採用教員全員と専門家が面談し、メンタルヘルスケアの重要性を伝えるとともに、不安を聞き取った。
担当者は「専門家の活用は重要だが、教員の働き方やメンタリティー、学校の状況に精通した専門家は多くない。人材確保や活用のための予算獲得も課題だ」と話す。【斎藤文太郎】
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