
三菱重工業は22日、人工知能(AI)データセンター向けに絶縁性の冷媒を使った液体冷却システムの提供を始めたと発表した。出資先である新興企業の技術を生かし、漏水リスクを抑えた。三菱重工はデータセンター向けの非常用発電機などを手掛けており、今後は冷却システムをアジア太平洋地域で提案していく。
提供を開始したのは「二相式ダイレクトチップ冷却」と呼ぶ方式の冷却システムだ。画像処理半導体(GPU)を入れたサーバー内の配管に冷媒を循環させて熱を取り除く。まず通信工事を手掛けるエクシオグループのデータセンターに納入した。同様のシステムの商用利用は国内で初めてという。
AIサーバーに使うGPUは高度な演算による発熱が課題となっている。従来はファンで冷やす空冷式が主流だった。近年は水を循環させて冷却能力を高める水冷式のデータセンターが増えている。
ただし水冷式は万が一水が漏れた際にサーバーにかかって回路が損傷する可能性がある。今回の方式では絶縁性の冷媒を使うことでこうしたリスクを低減したという。
システムは米国やイスラエルに拠点を置くスタートアップのズータコアが開発した。三菱重工は2023年に同社に出資してアジア太平洋地域での販売権を取得している。
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