米バーボンウイスキー「ジムビーム」が2026年1月から1年間、主力工場での生産を停止することになった。製造元のサントリーグローバルスピリッツが米メディアに明らかにした。背景には、トランプ政権の高関税政策に対する報復措置で輸出が低迷し、在庫が増加していることがある。
生産停止となるのは南部ケンタッキー州の蒸留所。米紙ニューヨーク・タイムズによると、ジムビーム全体の3分の1程度が生産されている。ただ、州内にある別の二つの蒸留所は稼働を続ける。州内では計1000人超が蒸留所などで働いているが、生産停止に伴う人員削減は公表していない。
ケンタッキー蒸留所協会が10月に発表した統計によると、州内の倉庫に保管されたウイスキーは過去最多の1610万たるだった。
在庫が積み上がった一因は、トランプ政権がカナダなどに課した麻薬対策の不備を理由にした関税だ。カナダでは対抗措置として3月に米国産ウイスキーの店頭販売を禁止し、現在も一部の州で「不買運動」が続いている。業界団体「米蒸留酒協会」によると、米国産ウイスキーの4~6月の輸出量は前年同期比で約9%減少した。
ジムビームは1795年に発売され、200年以上の歴史を持つ人気のウイスキーブランド。サントリーが14年に製造元の米ビーム社を1・6兆円で買収した。【ワシントン浅川大樹】
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