火災が起きた旭化成エレクトロニクスの半導体工場(2020年12月撮影)

旭化成は24日、2020年に火災が起きた宮崎県延岡市の半導体工場を、持ち分法適用会社の旭有機材に売却すると発表した。補修工事済みで26年2月に譲渡する。旭有機材は175億円を投じ半導体製造装置向けの部品などの新拠点とし、人工知能(AI)など旺盛な需要に対応する。

売却するのは旭化成の完全子会社の旭化成エレクトロニクス(東京・千代田)の半導体工場だ。音響機器などに使われる大規模集積回路(LSI)を生産していたが、20年10月の火災以降生産を停止していた。5階建てで火災後被害の大きかった部分は撤去し、補修工事をして現在は4階建ての工場となっている。

旭有機材は樹脂製のバルブなどを手がけ、旭化成が30.8%を出資する。工場やその付帯設備の取得、製造設備の導入にかかる費用などを含め175億円を投じ、半導体製造装置向けの小型の精密バルブ「ダイマトリックス」などを製造する。26年12月の着工、28年10月の竣工を見込み、現在の約3倍の生産能力を持つ拠点とする。

旭有機材が増産する導体製造装置向けバルブ「ダイマトリックス」

旭化成は自社の製造拠点としての利用など、活用方法を検討していた。20年の工場火災では音響機器や車載部品メーカーなどに影響がでて、ルネサスエレクトロニクスなどが代替生産していた。

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