総合病院に勤務していた50代の男性産婦人科医が自殺したのは病院側が過剰な業務をさせたからだとして、遺族が病院側へ約1億6000万円の賠償を求めた訴訟の控訴審で、大阪高裁は24日、病院側へ約1億5000万円の支払いを命じる判決を言い渡した。遺族側の請求を棄却した1審・神戸地裁判決(2024年12月)を変更した。長谷部幸弥裁判長は「病院での業務についての安全配慮義務を怠った」と述べた。
2審判決によると、男性は山口県長門市の長門総合病院(約300床)の産婦人科に1999年から勤務。08年10月にめまいや高血圧症を訴えて入院。退院後も勤務を続けたが、09年3月に病院敷地内の自宅で自殺した。死亡時は産婦人科部長だった。
高裁は判決で、病院では各診療科の運営が部長の裁量に委ねられており、男性には地位に伴う負担があったとした。男性は休日も入院病棟を巡回し、必要があれば医療上の対応もしていたとし、体調不良で入院した際も通常勤務に近い形で働いていたこともあったと認めた。
さらに、男性は部下とも意思疎通が困難な状態となっており、業務以外の心理的負荷で精神障害を発病したとは言えないことから、業務と自殺の間に因果関係があったと認定した。
その上で、院長の対応について検討。院長は業務負担の軽減のため男性と面談・助言はしていたものの、具体的な措置を講じておらず、医療関係者である院長であれば、疲労蓄積によって精神障害を発病しうることを認識していたはずだと指摘し、病院側は安全配慮義務を怠っていて賠償責任を負うと結論付けた。
病院側は「主張が認められず残念。今後の対応を検討していく」とのコメントを出した。【国本ようこ】
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