公正取引委員会のロゴマーク=山田豊撮影

 取引先の納入業者らに無償で商品陳列作業などをさせたのは独占禁止法違反(優越的地位の乱用)の疑いがあるとして、公正取引委員会は25日、全国で食品スーパーを展開する「ロピア」(川崎市幸区)に対し、同法の確約手続きを適用した。取引先約400社に不利益分相当額の計約4億3300万円を支払い、再発防止を「確約」する自主改善計画を認定した。

 公取委によると、ロピアは6月末時点で121店舗を運営。店舗数をここ3年間でほぼ倍増させるなど事業が急拡大する中、人件費高騰や人手不足のしわ寄せを取引先に負わせていた形で、会社の成長にコンプライアンス体制が追い付いていなかったという。

 ロピアは遅くとも2022年9月ごろから25年6月ごろまでの間、新規店舗の開店や既存店舗の改装に際し、取引先に従業員を無償で派遣させ、商品の陳列や補充などの作業をさせていた。派遣先は延べ100店舗以上に及び、延べ1万人以上が作業に携わった。

 従業員を派遣したのはロピアの店舗に商品を納入している食品メーカーなどで、ロピアに対する取引依存度が高かったり、ロピアと同程度の売り上げを確保できる別の取引先を見つけるのが困難だったりした事情から、無償派遣要請を断れないでいた。事前協議による合意もなく、「嫌だが仕方がない」などと要請に従っていたという。

 公取委は双方の関係性を踏まえ、取引上優位な事業者が取引相手に不利益を与える「優越的地位の乱用」の疑いがあると判断した。一方でロピアが提出した自主改善計画について実効性があるとし、行政処分の確約手続きを適用。独禁法違反を認定せず、排除措置命令などのより大きい強制力を持つ行政処分は見送った。

 ロピアは全国に食品スーパーの「ロピア」や「新鮮大売ユータカラヤ」を展開し、急激に売上高を伸ばしている。詳しい財務情報は公開されていないが、民間の調査では同社の売上高が4000億円以上にまで急成長しているというデータがある。【山田豊】

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。