
文化庁は26日、北海道の釧路湿原周辺で建設中の大規模太陽光発電所(メガソーラー)に関し、国の特別天然記念物タンチョウなどに影響を及ぼす行為は文化財保護法に抵触し、罰則が科される可能性があると事業者に伝えるよう、釧路市教育委員会に求めたことを明らかにした。
阿部俊子文部科学相は26日の記者会見で「天然記念物の滅失や毀損につながることがないように、市教委で適切に指導してほしい」と述べた。浅尾慶一郎環境相は会見で「工事箇所はタンチョウなど希少種の生息も確認されているため、環境省としても注視している」と語った。
建設を進める「日本エコロジー」(大阪市中央区)は25日、共同通信の取材に「適法かつ多大な費用を伴う事業で、単なる中止要請の受け入れは難しい」と答え、事業中止を求めた釧路市議らに反発していた。同社の今後の対応が焦点となる。
市教委は21日付で、専門家の意見を聞いて環境への影響を調べるよう同社に求めることの是非について文化庁に照会していた。
同庁は回答の中で、天然記念物への影響を事前に十分確認していない場合、文化財保護法に基づき罰則が科されたり、原状回復を命じられたりする可能性があることを事業者に伝えるよう要望。「必要に応じて捜査機関に情報提供」するよう求め、厳格な対応を支持する姿勢を示した。
日本エコロジーは、環境省釧路湿原野生生物保護センター付近の約4.2ヘクタールの民有地にソーラーパネル6600枚を設置する予定。タンチョウや国の天然記念物オジロワシを含む生態系への影響が懸念されている。
同社は事業地が開発可能とされる区域であることを挙げ、市に届け出て「適法に太陽光発電事業を進めている」と主張した。〔共同〕
【関連記事】
- ・北海道釧路市、太陽光施設の設置を許可制へ 野生生物保護へ条例案
- ・「地域共生の再エネ重要」 メガソーラーの釧路市宣言で浅尾環境相
- ・北海道釧路市、「ノーモアメガソーラー宣言」へ
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。