米オラクルがテキサス州に建設中のデータセンター
日本経済新聞社は、スタートアップ企業やそれに投資するベンチャーキャピタルなどの動向を調査・分析する米CBインサイツ(ニューヨーク)と業務提携しています。同社の発行するスタートアップ企業やテクノロジーに関するリポートを日本語に翻訳し、日経電子版に週1回掲載しています。

AIはデータセンター経済を一変させている。

大規模言語モデル(LLM)の爆発的成長により、大都市の電力消費量に相当する電力容量がギガワット(GW)級のデータセンターの建設が相次いでいる。送配電網への接続も数年待ちで、AIインフラの電力面でのボトルネックとなっている。電力供給、冷却、データセンター間の相互接続を速やかに果たせるかどうかが、データセンターを大々的に運営できる資金力と実行力を備えた少数のプラットフォーマーの決定的な強みになりつつある。

AIの普及を受け、データセンターのバリューチェーン全般で新たな企業が台頭している。発電やAI半導体から支援インフラ、クラウドサービスまで、各社は7兆ドル近い規模に成長する可能性があるデータセンター市場でシェアを競っている。

優位が固まりつつある分野を示し、データセンター開発企業が今すぐに優先すべき戦略的動向に目を向けられるよう、CBインサイツのデータに基づいてデータセンター市場の45分野367社のマップを作成した。ここではデータセンターのバリューチェーンを以下の7つの層に分けた。

発電:次世代原子炉(核融合、小型モジュール炉=SMR、溶融塩炉)、地熱発電などの再生可能エネルギー源、送配電網の需給を調整する蓄電池システムなどAIインフラを動かすエネルギーをつくり出す技術。

AIコンピューティングハードウエア:AI処理に特化した「ニューラル・プロセッシング・ユニット(NPU)」、AI学習・推論用プロセッサー、画像処理半導体(GPU)、中央演算処理装置(CPU)、機械学習の計算を支えるアクセラレーター・モジュールなど、AIワークロード専用のプロセッサーと半導体。

支援インフラ:高度な冷却技術(液浸冷却、直接液体冷却)、エネルギー最適化ソフトウエア、インフラ管理プラットフォーム、仮想発電所(VPP)などデータセンターの効率的な運営を可能にする物理的なシステム。

ネットワーキング&接続性:データセンター間の安全で高速なデータ移動を可能にするネットワークインフラ。NDR(ネットワーク検知・対応)やファイアウオールなどのセキュリティーツール、ドメイン名とIPアドレスをひも付けて管理するドメイン・ネーム・システム(DNS)、コンテンツ・デリバリー・ネットワーク(CDN)、広域ネットワーク(WAN)最適化などのコアネットワーキングサービス、データセンターの相互接続基盤サービスを含む。

データストレージ&データベースのインフラ:ベクトルデータベース(意味の類似性から情報を検察できるデータベース)やリアルタイムプラットフォーム、NoSQL、リレーショナルデータベース管理システムなど、AIデータパイプライン(データの収集や整備、保存までのプロセス)に応じて最適化されたストレージ・データベース基盤。システム間でデータを移動させるストリーミング、メッセージングインフラも含む。

AIクラウドサービス:AIの導入を簡素化するクラウドネーティブ(クラウドでの実行や開発を前提とした)基盤とサービス。管理・モニタリングツール、移行サービス、クラウドストレージ、GPU計算資源、AI特化型のセキュリティーソリューションを含む。

データセンター施設&運営:エッジやマイクロ(小型)、ハイパースケール(大規模)など、様々な規模や形態のデータセンター施設。モジュール型データセンターや宇宙空間に配置された宇宙データセンターなど新たなコンセプトも含む。

データセンター・バリューチェーンの市場マップ。出所:CBインサイツ

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