
企業の資本効率改善への期待があり、日経平均株価が2025年に史上初めて5万円を超えました。事業ポートフォリオの入れ替えを急ぐ三菱電機、過去最大の赤字を招いた買収企業の運営にメスを入れる電通グループなど、各社の戦略が注目を集めています。日経電子版の看板コラム「記者の目」は、財務や経営戦略といった切り口から企業の課題を深掘りします。今春以降、反響の大きかった記事を振り返ります。
イオン、株価乱高下が示す優待株の「限界」 資本効率低迷で割高感

イオンの株価が乱高下しています。株式分割に加え、株主優待による実質値引きの魅力が節約志向で高まり11月25日に上場来高値をつけましたが、地政学リスクなどが響き足元の株価は高値から大きく沈んでいます。かねて同業に比べ資本効率で見劣りします。優待以外の魅力が乏しければ株価が不安定なままです。
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三菱電機、1.3兆円の事業見直し 「10兆円クラブ」入りへ布石

三菱電機が岐路に立っています。品質不正問題を受けて21年7月に漆間啓氏が社長に緊急登板してから4年以上がたちました。同氏が主導した組織風土改革への市場の評価は高く、社長就任日以降の株価は大きく上昇しています。次の焦点は事業ポートフォリオの入れ替えで、時価総額「10兆円クラブ」の仲間入りができるかカギとなります。
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日野、失うトヨタの後ろ盾 三菱ふそう統合で借入金2600億円返済

日野自動車と三菱ふそうトラック・バスが経営統合し、26年4月に両社を傘下に収めた持ち株会社「アーチオン(ARCHION)」が上場します。日野はトヨタ自動車の連結子会社から、三菱ふそうも独ダイムラートラックの連結対象から外れます。親から離れた子が一緒に船出する格好ですが、乗り越えるべき波は高いといえます。
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美容家電のAiロボティクス、同業の10倍稼ぐ 秘訣はAIマーケティング

美容家電や化粧品などを手掛けるAiロボティクスが稼ぐ力に磨きをかけています。浮き沈みが激しい業界で、独自の人工知能(AI)の活用によりマーケティングの精度を高めています。従業員1人当たりの売上高は同業の約10倍という少数精鋭ぶりが強みで、効率経営で営業利益率は他社を大きく上回っています。
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米パランティア、異形の急成長企業 カープCEO「アンチは泣いていろ」
ビッグデータ分析の米パランティア・テクノロジーズの株価が急騰しています。市場が熱狂するのはその急成長ぶりです。主力の軍事向けに加えて民間向けでも受注を拡大しています。アレックス・カープ最高経営責任者(CEO)の強烈な個性と相まって、世界の投資家を引き付けています。

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防衛だけじゃない三菱重工 ガスタービン増産でつかむ「黄金時代」

快進撃を続けてきた三菱重工業の株価に一服感が出ています。発電用ガスタービンなどグループ全体の受注残が3月末時点で過去最高の10兆円に達し、株式市場では「生産が追いつかないのでは」との懸念が聞かれます。同社はガスタービンの生産能力を27年ごろまでに3割引き上げ、業績面のボトルネックを解消する戦略です。
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電通G、アクセンチュアから助っ人で本気の改革 数カ国で撤退検討

電通グループが経営姿勢と組織を一変させようとしています。競合のアクセンチュア出身者を最高財務責任者(CFO)に据え、海外企業で常道の重要業績評価指標(KPI)を重視した経営に移行しています。過去最大の赤字を招いた買収企業の運営にメスを入れ、数カ国での撤退も検討しています。本気の改革は実るでしょうか。
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