LINEヤフーコミュニケーションズのリファラルカード。手書きでメッセージを書く社員もいる=福岡市博多区で2025年12月25日午後3時59分、久野洋撮影
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 少子化で人材の採用競争が激しくなる中、社員の紹介で転職試験を受けてもらう「リファラル採用」が増えている。帰省先で同級生らとの交流が増える年末年始が狙い目といい、紹介報酬を増額して社員に声かけを促す企業もある。

 IT関連企業「LINEヤフーコミュニケーションズ」(福岡市)では12月下旬、名刺サイズのカードがオフィスに積まれていた。「一緒に働けるのを楽しみにしています」と、QRコードでリファラル採用のウェブサイトを案内している。

 同社はLINEヤフーの子会社で、2023年のヤフーとの経営統合前のLINEのサービス運営を担う会社として13年に設立された。福岡市に定住したい人などの転職の受け皿となり、社員は1600人規模まで増えた。

LINEヤフーコミュニケーションズのリファラルカード。手書きでメッセージを書く社員もいる=福岡市博多区で2025年12月25日午後4時0分、久野洋撮影
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 リファラル採用を強化しようと正月休みに目をつけ、24年12月に紹介報酬を増やすキャンペーンを始め、カードを作って社員に配り始めた。25年1~2月のリファラル採用の応募は前年同月比で9~10倍に増加。その3割以上が採用に至ったという。25年12月も同様のキャンペーンを始め、社員らは「一緒に働きたい友人に渡したい」とカードをカバンに忍ばせていた。

 人手不足で採用競争が激化し、企業は転職による中途採用を重視している。人材紹介会社を通すと一般的に、年収の3~4割程度の手数料がかかる。求人サイトへの掲載料なども大きなコストになる。

LINEヤフーコミュニケーションズのリファラルカード=福岡市博多区で2025年12月25日午後3時56分、久野洋撮影
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 リファラル採用では応募や採用の際、紹介社員に数千円~10万円程度を報酬として支給する企業が多い。「人材紹介会社に手数料を払うことを考えたら微々たるもの」(保育園経営者)とコスト軽減に期待する声もある。

 また、まだ転職活動を始めていない人に接触できるチャンスがある上、職場を知る社員の紹介のため、ミスマッチの回避にもつながると期待されている。そしてリファラル採用を成功させるには、「友人に勧めたくなる魅力的な職場かどうかが重要」(IT企業社員)という。【久野洋】

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