インタビューに応じる中部電力の林欣吾社長=名古屋市東区の同社本店で2025年12月11日午前11時0分、川瀬慎一朗撮影

 中部電力の林欣吾社長は報道各社のインタビューに応じ、「成長のために思い切った選択と集中をやる年。スクラップをやり、新陳代謝を良くしたい」と述べ、一部事業で撤退を検討していることを明らかにした。具体的な事業の中身は明言を避けたが、採算性や将来性などを見直し、事業構造改革を進める。

 同社は現在、グローバル事業や不動産事業、上下水道事業、森林事業などの新規事業に力を入れている。ただ、物価高や円安、金利の上昇などの影響で、事業コストは全体的に膨らんでいるという。

 林氏は「メリハリを付けないとこの先を乗り越えるのは厳しい」と危機感を示し、こうした成長性のある新規事業をさらに推進するため「一度立ち止まり、将来性やシナジー効果、貢献度などを厳しく見て、総合的に判断する」と強調。「この業界で下手なのはスクラップ。これがいかにできるかが大事になる」と語った。

 同社子会社が三菱商事などと開発を進めていた千葉県と秋田県沖の3海域で計画する洋上風力発電所事業は昨年、建設費高騰などを理由に撤退が決まった。これについて林氏は「日本の狭い国土を考えると洋上風力への期待は大きい。これまで通り全力で取り組む」とし、脱炭素化事業にも引き続き注力する姿勢を示した。

 また、昨年11月に公表した浜岡原発(静岡県)の不適切工事契約問題について改めて謝罪。「資材調達のルールを違反したこと以上に、その後も報告していなかったことを重く見ている」とし、「現場とのコミュニケーションの機会を増やし、現場、本店、経営層とのつながりを強くしたい」などと述べた。

 浜岡原発3、4号機で行われている再稼働に向けた原子力規制委員会による安全審査への影響については「一日でも早くガバナンス体制を整え、原因、対策を早く示すことが一番の方策だ」とした。

 現在は建屋や設備などの安全性を確認する「プラント審査」が進められており、2026年度中の審査終了を見込む。ただ、再稼働の時期については「目標とする時期を明確にする段階にはない。取り組まないといけないことがいっぱいある」と明言を避けた。

 一方、廃炉作業を進める1、2号機では、第3段階となる原子炉の解体が進む。商業用原発では初の試みで、「浜岡だけの問題ではなく、これから進む日本全国の廃炉工程にも影響する。安全に無駄なコストをかけずにやる必要がある」と強調した。【川瀬慎一朗】

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