自民党総裁に選出された際、党所属議員に「馬車馬のように働いていただきます」と呼びかけた高市早苗氏=同党本部で2025年10月4日午後3時4分、渡部直樹撮影

 世界は混沌(こんとん)としています。国際秩序や法の支配が揺らいでいます。日本の政治や経済の先行きも不透明です。2026年はどんな年になるでしょうか。毎日新聞の部長が展望しました。

働き方問われる年に デジタル報道部長・牧野宏美

 当初から強い違和感があったが、最近、知人の小学生の子どもがまねて口にするようになったと聞き、驚いた。

 「私自身もワーク・ライフ・バランス(WLB)という言葉を捨てる。働いて働いて働いて働いて働いてまいります」

 2025年10月、自民党の新総裁に決まった直後の高市早苗首相の発言だ。

「働いて働いて働いて働いて働いてまいります/女性首相」で年間大賞を受賞してあいさつをする高市早苗首相=東京都千代田区で2025年12月1日午後2時6分、藤井達也撮影

 「働いて……」は同年の新語・流行語大賞の年間大賞にも選ばれ、初の女性首相誕生とともに、歴史に刻まれることになった。

 折しも、働き方改革関連法の施行後5年の見直しの一環で、労働基準法を改正する議論が、厚生労働相が諮問する審議会などで進んでいる。約40年ぶりの大改正で、26年は「WLB」「働き方」が改めて問われる年になりそうだ。

 先述の発言について、高市氏は国家の経営者としての意気込みを示したもので「働き過ぎの奨励や長時間労働を美徳とする意図はない」と説明したが、過労死遺族を中心に懸念は強い。

 審議会では、労働時間の上限規制や連続勤務日数の規制などが論点に挙がっている。気になるのは、高市氏が首相就任直後、「労働時間規制の緩和の検討」を厚労相に指示したことだ。自民は人手不足を背景に、25年夏の参院選の公約で「働きたい改革」を推進すると掲げた。

 指示の内容は明確ではないが、上限の緩和を意図するものならば、働き方改革に逆行する動きと言わざるを得ない。法改正の議論の行方を注視したい。

 デジタル報道グループでは、WLBや働き方を考えるコンテンツを随時展開している。読者の関心が高く、子育てや介護に向き合う記者にとっても身近なテーマだからだ。26年も読者の課題解決につながる情報を届けるとともに、政治への違和感やモヤモヤも伝えていきたい。

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