三重県護国神社(津市広明町)が初めて巫女(みこ)の体験講座を開催した。神社への興味を広げるだけでなく、人材を確保したいという狙いがあった。
講座は13日に行われた。巫女の宇田和未さん(21)が講師を務め、応募した3人の女性が衣装を着て参拝の方法など基本所作を学んだ。
御朱印の作成や掃除なども行い、最後は巫女舞を踊るなど約3時間の講座だった。伊勢市の森川奈穂さん(22)は「前からやってみたいと思っていた。巫女さんはかわいらしいという印象しかなかったけど、裏でいろいろと人のために誠心誠意しているんだと感じた」と話した。
権禰宜(ごんねぎ)の山口功晟さん(30)は初めて体験講座を企画した狙いについて「リアルな部分を知り、身近に感じてほしかった」と説明した。アニメなどでキャラクターとして取り上げられることも多く、親しみやすい存在ながら、20代以下の未婚女性が好ましいとする神社が多かったこともあり、時代とともに考えは変わっても実際は数年で辞める巫女は多いという。
県護国神社でも2018年に唯一だった巫女が辞めて以降、25年に宇田さんが入るまで、繁忙期にアルバイトを雇って対応していた。担当者は「昔のように、数年働いて結婚を機に辞める時代ではなくなった。長く続けられる仕事を選ぶ人が増える一方で、将来への不安もあり、巫女を選ぶ人が減ったのではないか」と分析する。
人材確保に危機感を持った県護国神社は巫女の「働き方改革」を進めた。大事な祭事では慣例になっていた泊まり業務をなくし、早朝からの出勤に変えた。辞めた後も事務職として再雇用を始めるなど「働き続けられること」を模索している。
今年、職員として採用された宇田さんは、小学2年生から県護国神社を拠点とするガールスカウトで活動しながら、巫女の所作や姿を見て「すてきだな」と憧れを抱き、「就職」につなげた。「日々、子どもたちからご老人まで幅広い人に会い、見守る仕事は他にはない。最大限の笑顔でお見送りをし、何か少しでも悩みを減らせれば」と話した。
山口さんは「神主に話しづらいことも、巫女だったら話せることもあると思う。神社と参拝者との懸け橋をしてくれる縁の下の力持ち」と役割の重要さを説く。体験講座を通して参拝者への対応だけではない巫女の仕事への認識を参加者が深めることで、今後の採用につなげたいと期待する。【長谷山寧音】
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