
中部電力の林欣吾社長は日本経済新聞などのインタビューで、2026年を「思い切った選択と集中の年」と位置づけて事業の収益性を精査する考えを示した。原子力発電所や再生可能エネルギーへの投資が増える中、金利上昇で資金調達コストは上昇している。成長性を見極めて不採算事業の整理を進める意向だ。
浜岡再稼働時期「明確化できず」
運転停止中の浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)を巡っては25年11月、安全工事の精算手続きなどで不正があったと公表した。原子力規制委員会が再稼働に必要なプラント審査を進めているさなかにある。林社長は再稼働の目標時期について「非常に残念だが明確化する段階ではない。取り組むべきことが多くある」と述べた。
増加が予想される電力需要に対応するため、原発の再稼働や再エネの拡充は急務だ。すでに関東や関西では人工知能(AI)に欠かせないデータセンターの新設計画が進む。
設備投資案件が増える中、足元では政策金利の引き上げもあって借入金利の上昇圧力が強まる。林社長は「物価や金利の上昇は非常にマイナス要素になる」と警戒感を示す。環境債や社債など、資金調達手段の工夫も探る。

中部電力は25年に不動産事業本部を新設するなど電力事業以外の成長分野を強化してきた。今後は事業の成長性やシナジーを見極める構えで「採算性などをみながらスクラップが必要。強い分野に集中したい」と述べた。
同社は24年に次世代原発の小型モジュール炉(SMR)を開発する米新興、ニュースケール・パワーの株式を取得するなど原子力関連の次世代技術を推進している。林社長は「今は投資の側面が大きい。潮流を見ながら続けたい。(既存の大型炉と)ミックスするのがよい」と語った。
核融合発電「協力考えたい」
次世代エネルギーとして注目される核融合発電については「非常に期待できる。研究や開発に協力できるものがあれば考えたい」との認識を示した。再エネなどとあわせて脱炭素電源の選択肢を広げる方針だ。
核融合発電は太陽で起きる反応を再現する技術で、核分裂が起きる原子力発電所と異なり安全上のリスクが小さいとされる。脱炭素にも寄与するが、実現に向けて技術的な課題は大きい。
林社長は「具体的な出資計画はない」としつつ「今から手をつけておく必要がある」と開発協力に意欲を示した。高市早苗首相が開発に熱心なのも追い風とみる。
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