栗の実の外側にある硬い茶色の皮「鬼皮(おにかわ)」を原料にして紙をすくと、予想以上の機能を持っていた――。愛媛県紙産業技術センター(四国中央市)の明賀(みょうが)久弥・主任研究員は、普段は捨てられる栗の鬼皮を使い、ある機能紙を開発した。茨城、熊本県に次ぐ国内3位の栗生産県・愛媛。新たに見いだした効果とは。
栗の鬼皮にはポリフェノールの一種「プロアントシアニジン」が含まれる。明賀さんは愛媛県特産の栗を生かし、ポリフェノールの抗酸化力を紙に生かせないかと考え、試作を始めた。
市販の栗を使い、乾燥した鬼皮をミルで細かく粉砕後、針葉樹パルプと1対1の重量比で混ぜ、抄紙(しょうし)機ですいた。できた紙は全体が薄い栗色で表面はざらついた感触。JIS(日本産業規格)の抗菌効果基準に基づいて黄色ブドウ球菌を接種し、24時間後に残った菌の数を測定したところ、抗菌効果を示す抗菌活性値は3・7で、「強い抗菌効果がある」ことが分かった。基準では2以上3未満は「抗菌効果がある」とされ、2以上は「抗菌製品」として認められる目安。センターが同時期にスギ、ヒノキの樹皮を同じ割合で配合した紙で行った測定ではそれぞれ1・4、1・2と基準値を下回ったのに比べ、鬼皮の抗菌効果は群を抜いていた。
ポリフェノールは細菌のたんぱく質に吸着し、その機能を失わせたり、ウイルスが細胞に付着することを妨げる機能を持つとされる。プロアントシアニジンはブドウやリンゴの果皮、種子などにも含まれ、ポリフェノールのなかでもその機能は高いとみられている。
栗の鬼皮は未利用の資源。しかも強い抗菌効果を持つ紙を比較的簡単につくることができるため、センターには実用化への引き合いも来ている。明賀さんは「衛生用品、食事用のマットや栗などの商品の包装紙など、さまざまな製品化が考えられる。質感を高めるなど、実用化へ向けた努力を続けていきたい」と話している。【松倉展人】
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