
高市早苗首相は19日、通常国会冒頭の23日に衆議院を解散すると明らかにした。「経済対策最優先」「解散について考える暇はない」と主張してきたが、円安や物価高の終わりが見えない中で、選挙戦に突入することになる。急転直下の解散を、有権者はどう感じているのか。
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東京都板橋区のスーパー「マルヤス高島平店」。賞味期限切れは半額以下などの「訳あり品」をお得に購入できる。節約志向も手伝って、ここ半年は前年同期より1割ほど客足が伸びている。
買い物に来ていた板橋区のパート社員女性(79)は「物価高を最優先と言っていたのに、なんのための解散なのか」といぶかる。
40代の長男と2人暮らし。2年ほど前から、会計時に物価高を感じる。普段行くスーパーでは肉や野菜の値段が3割ほど上がり、格安店にも足を伸ばす。高値のコメは割安な備蓄米を選び、野菜を買い控えることもある。
年金に加え、ホテル清掃のパート給与が頼みだが、物価の上昇ほど時給は上がっていない。高市首相は19日、物価高は当面の対策を打ったと説明したが、「(首相は)『働いて、働いて』と言っていたのに、物価高対策はほとんど実現できておらず、納得できない。生活が楽になったと実感できるまで、政策を止めないで欲しい」と解散方針を批判する。
中学生から大学生までの子ども3人を育てる板橋区の会社員女性(50)は「物価高もきついけれど、女性初の首相の高市さんを応援したい気持ちの方が強い」と理解を示す。
子どもは食べ盛りで、1週間で5キロ近いコメがなくなる。農家から直接買っているが、この1年で価格は5割ほど上がった。一方、勤め先の給与は上がらず、自営業の夫の会社の売り上げも物価高を上回るものになっていない。
解散により、高市政権が進めようとしていた物価高対策が途切れることへの不安もある。ただ、「選挙で勝って政治が安定したほうが物価高対策も長く大胆にやってもらえる。高市さんなら何かやってくれると期待したい」と話す。
尾野嘉邦・早稲田大教授(政治行動論)の話

与党が参議院で過半数を割り、衆議院ではかろうじて過半数を維持する政治状況で、内閣支持率が高いうちに解散し、議席拡大を目指すという高市早苗首相の意図は明確だ。
ただ、支持率の高さが自民党への支持に結びつくかというと、そう単純ではないだろう。政権は新年度の予算案の年度内成立を犠牲にして選挙を選んだ。「国民の利益よりも党利党略を優先した」と見られても否定できない。
暫定予算は基本的に、社会保障などの経常的な経費に限られる。都道府県への交付金などを通じて国が実施する高校授業料の無償化の拡充といった新しい施策の実施は遅れる可能性がある。
一昨年秋の衆院選以降、国政選挙は1年4カ月で3回目となる。民意を敏感に反映できる利点がある一方で、有権者には「選挙疲れ」がある。ただ、野党の再編で、政権選択選挙となり得る可能性も出てきた。投票率の行方も注目される。
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