トランプ大統領は住宅価格や取得コストの引き下げを重視する=AP

【ニューヨーク=竹内弘文】トランプ米大統領は20日、大規模機関投資家による戸建て住宅の取得を禁じる大統領令に署名した。大手金融資本による住宅投資が住宅価格を押し上げたとの見方から、購入制限で「手ごろな」住宅価格を実現して11月の中間選挙前に国民にアピールする。トランプ氏の経済政策を応援してきた金融業界の支持を失うリスクもある。

大統領令は冒頭で「住宅の購入と所有は長きにわたりアメリカンドリームの頂点とされ、家族が生涯の富を築くための手段とされてきた」と説明し、「ウォール街の大規模投資家が多くの戸建て住宅の取得を増やした結果、住宅購入を目指す家族を締め出している」と指摘した。

大統領令に基づき30日以内に「大規模機関投資家」と「戸建て住宅」の定義を策定するほか、取得禁止を制度化するための立法勧告を準備する。

住宅投資を手掛ける米大手投資会社ブラックストーンや不動産投資信託(REIT)などが規制の対象となる可能性がある。住宅を取得・改修して賃貸に回す事業モデルだ。人口の増加率が高い南部などで住宅取得を進めた大手投資家が住宅価格上昇の一因であるとする指摘がかねて共和・民主両党からある。

生活のアフォーダビリティー(手ごろさ)をどう確保するかは中間選挙の大きな争点だ。とりわけ住宅価格や家賃上昇で有権者の負担感が強まるなか、住宅政策は選挙戦で訴求できるポイントとなる。

トランプ氏は8日、住宅ローン金利引き下げに向け、米連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)と米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)に2000億ドル(約31兆円)の住宅ローン担保債券を購入するよう指示した。市場に積極介入してでも住宅価格や金利負担の低下を優先する構えだ。

ブラックストーンのスティーブン・シュワルツマン最高経営責任者(CEO)はトランプ氏の支援者で個人的にも親しい関係にある。シュワルツマン氏は、住宅市場の問題は投資会社の取得ではなく、用地規制などによる住宅供給不足にあるとの立場だ。

トランプ氏が進める規制緩和はこれまで、ブラックストーンの投資領域にも追い風となってきた。ただ、トランプ氏が機関投資家による戸建て住宅投資の禁止をSNS投稿で打ち出した7日には同社株価が前日比6%安に急落。政府主導で投資機会を奪うことになれば、トランプ氏はウォール街の大きな後ろ盾の1つを失うリスクもある。

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