東京電力ホールディングス(HD)は21日、柏崎刈羽原発6号機(新潟県)を再稼働した。同社が原発を再稼働させるのは2011年の福島第1原発事故後、初めて。設定ミスから、制御棒に関する警報が正しく鳴らないトラブルが17日に発生。東電は同様の問題がないか確認作業を行っていて、当初予定していた20日の再稼働を見送っていた。

 原子力規制委員会は21日、6号機の制御棒全205本と警報動作の設定ミスが解消されていることを確認。これを受け、東電HDが安全性を最終確認した後、約14年ぶりに原子炉を起動した。

 今後はタービンの起動や発電機と送電設備を接続した試験などに移り、施設全体が正常に機能しているかを確認後、規制委の検査を経て、2月26日に営業運転を開始する予定。

 東京電力HDは「約14年ぶりの運転のため、各起動工程の状況について、しっかりと情報発信を行っていきます。引き続き、安全最優先の取り組みを行動と実績で示していきます」とのコメントを出した。

 東電HDは1、2号機のいずれかの廃炉を具体的に検討しており、定期検査中の3~5号機の再稼働方針は未定。7号機はテロ対策の「特定重大事故等対処施設」の建設を進め、6号機が同施設の設置期限を迎える前の29年8月以降に再稼働を見込む。

 新潟県の花角英世知事は昨年11月に柏崎刈羽6、7号機の再稼働を条件付きで容認する意向を表明。翌12月に県議会が再稼働の容認を決議していた。

 国内で福島事故後に再稼働した原発は15基となった。東日本では東北電力女川原発2号機に続く2基目。柏崎刈羽6号機の送電先の首都圏では今夏に電力需給の逼迫(ひっぱく)が見込まれていたが、営業運転が順調に進めば、安定供給に最低限必要な予備率3%は確保できる見通し。

 東電HDは原発1基の再稼働で年1000億円程度の収益改善効果を見込む。福島第1原発事故の賠償と今後、核燃料デブリの取り出しが本格化する廃炉作業を進める上で、経営の安定化に向けた要素の一つとなりそうだ。

 政府は福島第1原発事故後、電源構成の約3割を占めた原発への依存度を「可能な限り低減する」方針を堅持していた。しかし、ロシアのウクライナ侵攻を巡るエネルギー危機を受け、22年8月に当時の岸田文雄政権が方針を転換。昨年2月に閣議決定した「第7次エネルギー基本計画」でこの表現が削除され、代わりに原発の「最大限活用」が明記された。

 25年10月に発足した高市早苗政権は、化石燃料のほとんどを輸入に頼る日本のエネルギー自給率向上を重要政策の一つに掲げる。原発の再稼働や次世代原発の開発などを推進する考えを示している。【中島昭浩】

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