リニア中央新幹線の静岡工区着工に向け、最大の障壁だった水資源問題が決着した。JR東海と静岡県は24日、工事後に県内の河川の流量が大きく減るなどして水利用に影響が出た場合、JR東海が補償するとの確認書を締結した。環境保全対策などで協議を続けるが、課題は技術面に絞られ、鈴木康友知事が2026年内の着工を容認する可能性が高まった。

水問題を巡っては川勝平太前知事が17年、リニア静岡工区の工事により県中部を流れる大井川の流量が減る恐れがあると懸念を表明。県とJR東海が国を交え協議していた。今回の確認書締結により約10年越しで水問題が全て解決した。リニア開通に向け難所となっていた静岡工区が年内に着工すれば、最短で35年の品川―名古屋間の開業が視野に入る。

JR東海の丹羽俊介社長が24日、静岡県庁を訪れ、鈴木知事と締結式を開いた。静岡工区の工事に伴い県内の水利用に影響が出ればJR東海が復旧の措置を講じ、対応が困難な場合は補償することで合意した。補償の請求期限や対象期間について制限を設けないとしたほか、被害の立証責任を県や流域関係者に求めないと記した。

県は国の関与も求めており、工事の影響や対策の実施状況を国土交通省が継続的にモニタリングすることも盛り込んだ。

県は水資源問題など28項目でJR東海に「対話」を求めてきたが、完了した項目は16となり半数を超えた。リニア問題を担う平木省副知事は「対話のピークを超えた」とみる。残る12項目はトンネル工事で出る盛り土の処分などで、対策の技術的な課題を詰めている。鈴木知事は全て終われば着工容認の「政治的決断を下す」としている。

JR東海の丹羽社長㊧、静岡県の鈴木知事㊥、国交省の水嶋智事務次官が出席した(24日、静岡市)

鈴木知事は締結式後「不安や懸念を払拭するかたちで、確認書が締結できたことは本当によかった」と述べた。今後のJR東海との協議を「スピード感を持って丁寧に進めていきたい」と語った。丹羽社長は「早期の開業のために静岡工区に一日でも早く着手したい」と期待した。

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