東京電力ホールディングス(東京都千代田区)

東京電力ホールディングスは財務の立て直しを急ぐ。新たな再建計画は2034年度までに原子力発電所や再生可能エネルギー事業などに約6兆円の投資が必要になると見通す。柏崎刈羽原子力発電所(新潟県)6号機の再稼働が決まり、足元の現預金の流出を止めるめどはつけた。抜本的な経営再建へ外部との連携に活路を見いだす。

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投資キャッシュフロー合計2割増

26日に発表した再建計画でのグループ収支見通しをみると、10年間の投資キャッシュフローは合計6.7兆円となる。25年3月期までの10年間と比べると2割増える。

原発の安全対策投資のほか、データセンター向けの送配電網の増強投資などが重い。再生エネや小売りのシステム開発にも費用がかかる。

足元では流出が続く現預金の確保を急いできた東電。純現金収支は24年度まで7年連続の赤字で、累計の赤字額は1.7兆円に上っていた。原発への先行投資が増える一方で、再稼働が進まなかったためだ。

電子機器の不具合で停止中の柏崎刈羽原発6号機が25年度中に稼働できれば、純現金収支は27年度に黒字には転じる見通し。7号機もテロ対策設備が完成すれば動かせる見通しだ。原発稼働によって30年度までは利益水準は徐々に高まる。

足元数年の資金を確保するため今後3年以内をめどとする2000億円規模の資産売却も再建計画に明記した。東電は福島原発以降、変電所の跡地など1兆円の資産を売却してきたが、保有株の売却などで深掘りする。

「経営合理化3.1兆円」追加は0.3兆円

11年の東日本大震災以降で取り組んだ人員削減など経営改善策の今後10年ほどでの効果2.8兆円と今後追加のコスト削減で0.3兆円、あわせて3.1兆円の経営合理化効果を見込む。

それでも原発2基稼働後の31年度以降、経常利益はほぼ横ばいを見通す。原発稼働に頼る薄氷の収支計画となっている。

中期の成長に向けて、提携戦略を再建計画の柱の一つに据えた格好だ。

今後、枠組みについては広く募集をする。既に国内投資ファンドの日本産業パートナーズ(JIP)、産業革新投資機構(JIC)のほか、米KKRや米ベインキャピタルが関心を示してきた。

外部の資本を活用し、グループの発電会社JERAを含めて10年で11兆円の投資を進める考えだ。提携によって、データセンター向けの電力需要も取り込む。

データセンター事業者など需要家が変電所を保有し、東電が保守運営する仕組みなどを設ける。需要家は短期間で送電線に接続でき、東電は投資を抑制できる。送配電や再生エネでは開発した設備を売却して利益を得る事業にも取り組む。

会見する東京電力ホールディングスの小早川智明社長(26日、東京都千代田区)

首都圏は日本の電力需要の3割を占める。人工知能(AI)の普及で需要が高まるデータセンターが集積し、人口も集中する。東電の経営再建の成否は日本の産業競争力にも響く可能性がある。

東電はファンドと連携した商社や通信などの事業会社からの出資も期待する。ただ民間企業は原発を保有する電力会社の巨額賠償リスクを警戒しており、最終的に出資や提携までこぎつけられるかは不透明だ。

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BUSINESS DAILY by NIKKEI

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