東京電力ホールディングス(HD)は26日、次期経営再建計画「第5次総合特別事業計画」(総特)が政府の認定を受けたと発表した。人工知能(AI)向け電力需要の伸びが見込まれるデータセンターや脱炭素を含めた広い分野で近く、国内外の企業から出資や協業の提案を募る。非上場化の提案も排除しないという。今後3年で保有株式など2000億円規模の資産売却を通じ、足元の経営資金を確保する。
総特の改定は2021年8月以来、約4年半ぶり。国の原子力損害賠償・廃炉等支援機構と共同で策定した。東電HDの小早川智明社長は記者会見で「大胆な改革で企業価値の向上につなげる」と意気込んだ。
新たな総特でも、福島第1原発事故の賠償や復興、廃炉などの「福島への責任」を貫徹するという東電HDの「原点」に立ち返る。世界初の事故原発内に溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の取り出し作業の本格化を見据え、現地と本社機能の統合なども視野に「主体的な役割を果たせる体制」の構築を進める。
柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)の再稼働の収支改善効果を1基あたり年約1000億円織り込んだ。ただ、昨今の物価高や人件費の急騰で、両機を再稼働しても「経営状況の抜本的な改善にはつながらない」と計画に明記。廃炉費用を安定的に確保しつつ、足元の電力需要増加に対応し、中長期的な企業価値の向上につなげるため、取り組みの強化が「必要不可欠」と判断したのが、他社とのアライアンス(提携)だった。
東電HDは昨年12月に社外取締役などで構成する委員会を設置し、近くアライアンスの提案を募集し始める。小早川社長は「廃炉作業が最難関の局面に入り、電力需要増への反転、物価高騰など大変厳しい状況に置かれている。電力の安定供給の中核を担い、日本の経済成長を支えるためにも、抜本的な経営合理化に加え、もう一段成長するためにはアライアンスの成立が重要だ」と説明した。
東電HDは17年5月に認定された3次総特以降、同業種や異業種との協業を模索してきた。しかし、中部電力と火力事業を統合したJERA以外、目立った成功事例がない。アライアンス相手が思うように見つかるかも不透明で、ある東電関係者は「大風呂敷を広げただけで、実現するかは分からない」と話す。
福島事故から今年3月11日で15年。政府は現在、事故処理費用を計23・4兆円と想定している。東電HDは賠償と廃炉費用年5000億円を捻出する目標を今回も維持した。
26年3月期の通期業績見通しは未定としていたが、26日に最終(当期)損益が前年同期比8020億円減の6410億円の赤字となる見通しを公表した。25年4~6月期連結決算で、福島第1原発1~3号機で核燃料デブリの取り出しに向けた準備費用9030億円の特別損失を計上したことが影響した。
投資計画などの見直しで今後10年間で計約3・1兆円のコスト削減を実施。35年3月期に最終利益2998億円の達成を目指している。【中島昭浩、渡辺暢】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。