LCO2船のノーザンフェニックス

ノルウェー沖で二酸化炭素(CO2)の回収、貯留をして脱炭素を進める「CCS」で川崎汽船と商船三井が液化二酸化炭素(LCO2)輸送船を保有する。日本の海運会社がLCO2船を保有するのは初めて。欧州で先行するLCO2船の運航への関与を深めて日本周辺での実用化に向けて知見を集める。

ノルウェーでCCS事業を手掛ける合弁会社「Northern Lights(ノーザンライツ)」が29日に発表した。同社は英シェル、仏トタルエナジーズ、ノルウェーの石油大手エクイノールの3社が共同出資する。

ノーザンライツは既存の4隻に加えて、新しく4隻を発注する。そのうち2隻の保有と運航管理先として川崎汽船とマレーシアの海運会社MISCバーハッドのコンソーシアムを選定した。残りの2隻は商船三井が保有と運航管理を担う。

出資比率や金額は非公表。4隻のうち3隻は1万2000立方メートルの貨物を積載できる。もう1隻は検討中だ。中国と韓国で建造され、2028年下期から29年上期にかけて竣工する予定。

ノルウェーのCCSは商業化を目指した世界初のプロジェクトだ。デンマークとの間にあるスカゲラク海峡に面したノルウェー南部の発電所とセメント工場で回収したCO2を運搬船で約700キロ先にある中間貯留施設まで運ぶ。最後はパイプラインでCO2を地中に注入する。

ノーザンライツは28年にもオランダなどで回収したCO2を運搬する国境を越えたCCSにも取り組み、年間の貯留量を500万トン以上にする予定だ。輸送量の増加を見越して船を4隻新しく発注し、船も従来の7500立方メートルから大型化する。

25年12月にはこのプロジェクトに従事する3隻目の新造船が横浜に寄港し、日本政府の関係者らにお披露目された。政府は国内で30年代初頭にもCCSの事業を始めることを目指している。貯留できるのは枯渇したガス田で、日本周辺では東南アジアなどが有力だ。船の輸送は欠かせず、日本の海運会社は先行する欧州で運航実績を重ねる。

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BUSINESS DAILY by NIKKEI

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