タイミング製品はAI向けに需要が高まっている(ルネサスの事業所)

ルネサスエレクトロニクスが電子回路を正常に動作させるためのタイミング部品事業を米半導体設計のサイタイムに売却する方針を固めたことが3日、分かった。売却額は30億ドル規模(約4700億円)で調整している。非中核事業を売却して自動車や産業機器の頭脳となるマイコンなどに投資を集中する。

5日午前にも発表する。

タイミング部品は電子機器の電子回路が混乱なく動作するための基準となる信号をつくる部品だ。人工知能(AI)需要の高まりでデータ転送速度や経路が複雑になり、AI半導体などと一緒にタイミング製品の重要性も高まっている。

ルネサスは同事業の売上高を公表していない。利益率は高いとみられるが、ルネサスは中核事業との親和性が低いと判断し、売却を決めた。同社はマイコンを中心に他の半導体と組み合わせて販売する戦略を取っている。タイミング部品は17年に買収した米インテグレーテッド・デバイス・テクノロジー(IDT)の事業だった。

ルネサスは21年まで大型M&A(合併・買収)を相次ぎ実施して成長してきた。IDTに続き、21年に英ダイアログ・セミコンダクターを買収し、圧力や温度などのデータを処理するアナログ半導体技術を手に入れた。24年8月には米ソフトウエア会社のアルティウムを傘下に収め、ハードだけでなく設計環境も提供できる体制を整えた。

電気自動車(EV)の失速などで自動車向けの需要が落ち込み、ルネサスの収益環境は厳しい。ルネサスは25年1〜9月期に最終損益が690億円の赤字(前年同期は1972億円の黒字)と、同期間として6年ぶりに最終赤字だった。ルネサスは5日午前に25年12月期の業績発表を予定している。

サイタイムはタイミング部品に特化する半導体設計会社だ。米ナスダック市場に上場している。24年の売上高は2億ドルで、前の年から4割成長した。日本の半導体設計会社のメガチップスが14年に買収し、その後段階的に株式を売却し現在は13%を出資している。

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BUSINESS DAILY by NIKKEI

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