
KDDI系の新電力、auエネルギー&ライフ(EL、東京・千代田)は4日、宇宙新興のALE(エール、東京・港)と組み、新たな電力プランの販売を始めた。開発現場の見学などの特典を付ける。通信各社はグループに新電力を持ち、主に携帯の契約者向けのサービスとして展開する。auELはグループにとらわれない営業網を広げる。
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エールは人工流れ星の打ち上げを目指す新興企業だ。人工衛星の中に宇宙デブリにならない粒を入れて打ち上げ、大気圏で放出することで地球上から流れ星として見られることを目指す。
今回の電力プランは契約者にエールの「支援者」になってもらい、事業を応援してもらう形とした。電気代の一部を開発事業に還元する。開発現場を定期的に見学できる。auELは宇宙に関心のある子どもを持つ家族層などを開拓する。
資源エネルギー庁によると2025年10月のauELの電力販売量は家庭向け販売の新電力730社のなかで4位だった。通信キャリア系列の中ではソフトバンク系のSBパワーに次ぐ2位だった。

通信系の新電力は各通信会社が本業であるスマホの解約を防ぐためのサービスとして活用してきた。auELの電力の契約切り替えもソフトバンクやNTTドコモなどとの間で起きることが多い。auELの斉藤茂社長は「新電力でも独特な競争環境にある」と話す。
電力小売りの全面自由化から10年、新電力全体の事業環境は好転する。家庭向けなどの低圧プランでの大手電力から新電力への切り替えは25年10月に約17万件だった。前年同月から9割増えた。電力の市場価格が落ち着き、新電力の競争力が高まっている。
KDDIはエネルギー事業を成長領域と捉え、22年7月にはauELを分社化し、電力小売りの販売戦略などの裁量を移管した。KDDIからの出向者だけでなくauELで独自に社員も採用し、電力小売りの営業部隊を直近の1年弱で約2倍に増やした。
auELはこれまでANAや三井住友銀行など一般消費者を顧客に持つ企業と提携したプランを提供してきた。今回のエールは一般消費者の顧客を持たない一方で、人工流れ星を活用したサービスの提供に向けて、消費者との接点を持ちたかったという。auELはこうした一般消費者との接点を持ちたい企業との連携を増やしていく方針だ。
安定的な電力調達もカギ
新電力による電気料金プランは多岐にわたる。U-POWER(東京・品川)は1月、国内最大級のファッションイベント「東京ガールズコレクション」と組み、美容家電などの特典を付けたプランの販売を始めた。TGオクトパスエナジー(東京・港)は25年7月にサッカーJ1「鹿島アントラーズ」と提携するプランを発表している。
新電力の多くは自社で発電設備を持たない。市場から電気を仕入れる場合は価格の変動に業績が左右されやすい。auELも発電設備は持たないが、大手電力と代理契約を交わして電気の調達を委託することで、市場価格の変動リスクを抑える。
auELの斉藤社長は「発電所との直接の調達契約を増やし、長期で十分な量の電力を調達する」と話す。そのうえで、市場価格が安いときには一時的に市場調達の割合を増やすなど安い電気を供給する考えだ。
新電力の競争環境について、調査会社のMMD研究所の吉本浩司所長は「顧客基盤を持っているかが重要な要素になる」とみる。今後の市場価格の変動リスクを踏まえ、「価格単体での差別化は難しく、付加価値を深めることで消費者との接点を作ることが必要だ」と指摘した。
(松川佳奈)
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