地震で脱線した九州新幹線の車両=熊本市西区で2016年4月15日午前6時45分、本社ヘリから矢頭智剛撮影
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 JR九州は2016年4月の熊本地震で脱線後、保管していた九州新幹線「つばめ」の先頭車両を、4月にJR博多駅前広場に展示する。地震から10年、新幹線開業から15年の節目のイベントとして、熊本の車両基地から船などで輸送する。古宮洋二社長は「新幹線の利用者や沿線地域の方に感謝の思いを伝える旅になる」と話している。

 九州新幹線の博多―鹿児島中央間が全線開業したのは11年3月12日。東日本大震災の翌日だったため、開業記念のイベントをすべて中止するなど、祝賀ムードを抑えた静かなスタートだった。

全線開業した九州新幹線で車窓を眺める人たち=新幹線車内で2011年3月12日午後2時25分、矢頭智剛撮影
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 しかし、JR九州が全線開業に合わせて制作したテレビCMは、新幹線が走る姿と沿線各地で市民1万人以上が祝福する様子を描き、自粛して数日間しか放映しなかったが、ネット上では大きな評判を呼んだ。

 新幹線の開業15年を前に、沿線住民に思いを伝えることができないか社内で検討を重ねた。熊本地震の発生から10年と重なるため、被災車両を復活させることが決まった。古宮社長は「震災を後世に伝える一つになる」と話す。

 新幹線の脱線事故は16年4月14日夜、熊本地震の前震で起きた。熊本駅から熊本総合車両所に向けて回送運転中に全6両が脱線。車体にひずみが生じ、営業運転は困難と判断された。そのまま車両所に保管され、3両は解体された。残りの3両のうち、先頭車両を修繕・再塗装して展示する。

台船を使った九州新幹線「つばめ」の海上輸送をイメージしたイラスト=JR九州提供
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 企画の名称は「つばめの大冒険」。新幹線の開業日に合わせ、3月12日に熊本総合車両所で復活した「つばめ」をメディアにお披露目する。28日深夜から29日早朝にかけて熊本新港へ陸上輸送し、29日中に台船に載せて出航する。福岡県大牟田市や熊本県八代市、鹿児島県川内市など、九州新幹線の沿線付近を中心に航行し、海上から「ありがとう」を伝えるという。

 車両は4月10日から約10日間、博多駅前広場に展示する。広場ではライトアップなども予定している。【後藤浩明】

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