プルデンシャル生命保険

プルデンシャル生命保険は10日、顧客から金銭をだまし取るなど総額31億円を不適切に得ていた問題で、実態解明を目的に弁護士などでつくる第三者委員会を設置すると発表した。不正は1991年から2025年まで続き、顧客被害は500人超にのぼるという。不正に関わった社員や元社員は100人以上になる。

これだけの不正が長い間、放置されたのはなぜか。被害者への補償はどうなるのか。これまでの経緯と今後の展開をまとめた。

不正の原因は?

プルデンシャル生命は営業担当の裁量が大きい「個人事業主」に近い事業モデルで収益を上げてきた。営業成績が給与に連動する「フルコミッション(完全歩合)」に近い報酬体系で、平均報酬は年収換算で1300万円強に達する。

営業手法や働き方の管理も個別の社員の裁量に委ねてきた。プルデンシャル生命は不正について「顧客との密接な関係を悪用した金銭詐取や不適切な投資商品の勧誘。収入の不安定さから金銭貸借を依頼する事例などが報告されている」としている。社員の不正を見抜く仕組みが整っておらず、顧客本位の徹底が不十分だった。

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在職中の詐取は全額補償

プルデンシャル生命の得丸博充社長は10日、営業担当者の在職中の金銭の不適切な受領に関しては審査を経ずに全額補償すると公表した。補償をめぐってはこれまで第三者で構成する補償委員会で補償の可否を判断するとしていた。退職後に関しては従来通り、委員会の判断に従って補償を実施する。

補償を担う委員会に足元で300件ほどの申請があるという。不正行為が追加で明らかになる可能性もあり、第三者委員会で調査する見通しだ。

金銭詐取問題について記者会見するプルデンシャル生命保険の得丸博充社長㊥

経営への影響は避けられない。米プルデンシャルは日本法人の営業自粛に伴い利益ベースで最大3億5000万ドル(約540億円)の影響がでるとみている。

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今後の会社や行政の対応は?

プルデンシャル生命は9日から新規契約の販売活動を90日間自粛している。自粛期間中は営業社員の活動管理の強化やコンプライアンスの浸透のための研修に取り組むとしている。

プルデンシャル生命は自粛期間中に報酬制度を改正する。本社のコンプライアンス担当者が支社や営業社員の活動を監督する体制を整えて営業再開を目指すという。収益偏重のゆがんだ企業風土の改革が不可欠だ。

片山さつき金融相は10日の記者会見で「実効性のある再発防止策を確保、確認して実行させるのが重要だ」と強調した。金融庁は立ち入り検査に乗り出しており、保険業法への違反やガバナンス不全などが見つかれば業務改善命令や業務停止命令といった行政処分も視野に入れる。

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